<中日3-1広島>◇25日◇ナゴヤドーム
オレ竜の「マエケン・キラー」が1発で試合を決めた。中日トニ・ブランコ内野手(29)が4回、リーグ2冠王(防御率、最多勝)の広島先発前田健から18号決勝2ランを放った。前田健には通算26打数で4安打だが、その4本すべてが勝敗にかかわる貴重な本塁打だ。これでチームは貯金1。またもひと振りで難敵を沈めたB砲からは、力強い本塁打王宣言も飛び出した。
わずか1球の“失投”を見逃さなかった。緊迫した投手戦で迎えた4回、ブランコは前田健に簡単に2ストライクと追い込まれた。外角低めに外れるスライダーを振らされた。だが、ここからボール球を振らせようとする広島バッテリーの誘いを我慢し、2-3まで持ち込んだ。そして6球目、低めのスライダーを怪力ですくい上げた。打球は予想以上に伸びて右中間スタンド最前列に飛び込んだ。
「最後にストライクゾーンにきてくれた」。パワフルな18号2ランが両軍のエース対決に決着をつけた。前田健とは不思議な相性がある。通算26打数4安打。対戦打率は1割5分4厘だが、安打のすべてが本塁打だ。昨年5月7日の1発はナゴヤドームの天井スピーカーを直撃。一躍ブランコの名前を全国に知らしめ、ブレークのきっかけとなった。この日の先制V弾を含め本塁打のすべてが同点、逆転などの「肩書き」付き。「偶然にも彼と対戦するのはいつも調子がいい時なんだ」。またも千金の1発で難敵を沈めた。
ジレンマもある。24日の敗戦後、落合監督はブランコら主軸打者に注文をつけた。「投手が苦しんでいるのになぜ助けるんだ。四球でいいじゃないか」-。リーグ断トツの88三振を喫しているブランコの胸にも突き刺さる言葉だった。ただ、選球眼を意識しすぎるとスイングを見失うこともある。そのはざまで悩む。「監督の言う通り。ただ、僕の場合はついついストライクゾーンを大きくし過ぎてしまう…」。この日もボール球に手を出したが、最後は粘って失投を呼び込んだ。ブランコは理想の打者への成長過程にいるのだ。
「他にだれが打つ?
1、3、4、5(番)が打たないと点が入らない。前田に勝つにはこういう試合しかない。投手がいかにゼロに抑えて、ホームランを打つか」。前夜とは一転し、落合監督は会心の勝利をこう評した。「まだまだ打てると思う。(本塁打数)1位は何本?
追いかけていけるよ」。巨人ラミレス、阪神ブラゼルまであと5本。ブランコも最後は笑顔の本塁打王宣言で締めくくった。【鈴木忠平】
[2010年6月26日11時14分
紙面から]ソーシャルブックマーク



