<巨人2-8阪神>◇3日◇東京ドーム

 もう手がつけられない。阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)が、東京ドームの天井に当たりながらスタンドインする“驚弾”で巨人を粉砕した。1点を追う4回、藤井から2試合連続となる逆転2ラン。キング争いする阿部、ラミレスの眼前で再び単独トップに立った。シーズン本塁打の日本記録(55本)を上回る56本ペースで量産するブラ砲よ、今日も頼みまっせ!

 パワーだけなら負けない。意地とプライドが詰まった打球が、想像以上の飛距離を生む。推定飛距離は130メートル。数字だけを見れば驚くほどでもないが、アクシデント?

 を“乗り越えて”の飛距離となれば、その数字は輝きを増す。ブラゼルが自身初となる「天井弾」を放ち、チームを12球団最多となる23度目の逆転勝ちへと導いた。

 1点先制された直後の4回。“事件”は起きた。無死一塁で打席に入ると、カウント1-0からの2球目。肩口から入ってきた甘い変化球に襲いかかった。甲高い衝撃的な打球音を残した白球は、虎党の声援とともに右翼席へ一直線。グングンと一向にスピードが緩むことのない打球は、東京ドームの天井に2度あたり、最後はしっかりと右中間席中段に着弾した。

 ブラゼル

 打った感触がよかったから(スタンドまで)行くとは思ったけど、まさか天井に当たって入るとは。ベンチに帰って来てテレビで見るまで分からなかったよ。

 球場の天井に当たる飛球は、昨年も京セラドーム大阪で経験済みだが、打球が失速することなくスタンドまで届いたのは今回が初めて。規格外のパワーを見せつけた身長191センチの大男は、余韻に浸るようにゆっくりとダイヤモンドを一周。そして「ルーフ!、ルーフ!」と顔を紅潮させたまま、ベンチでナインに向かって絶叫した。

 衝撃的な“驚弾”を呼んだのは、ライバルの一打だったのかもしれない。2回。本塁打王争いを演じる阿部が、東京ドーム4階席のさらに上の壁を直撃する、推定飛距離150メートル級の大ファウルを打った。守備位置の一塁から見送ることしかできなかったブラゼルは「どこまで飛ばすの?」と言わんばかりに阿部の方を振り抜いて首をひねっていたが、自身はそれを上回る2試合連続の28号特大弾で、ライバルから1本リード。年間56本ペースに加速した。

 これでブラゼルが巨人戦で本塁打を打てば、チームは昨年から6戦全勝。「どんなに飛ばしても、本塁打1本は1本だから」。試合後は落ち着き払っていたものの、逆転勝ちを呼び込んだのはこの男の1発にほかならない。ラニー夫人とエスカレーターに乗る時は、必ず後ろに立って守り役に徹するジェントルマンも、グラウンドでは誰もが恐れるバットマンとなる。

 [2010年7月4日11時36分

 紙面から]ソーシャルブックマーク