<中日5-0横浜>◇19日◇ナゴヤドーム

 中日小田幸平捕手(33)が08年以来、2年ぶりのタイムリーで勝負を決めた。3打点は自己最多。リードでも4連続完封のバトンをつなぎ、初めて本拠地のお立ち台に上がった。0-0で迎えた6回1死満塁、小田は打席に向かう前に、ちらっとベンチの落合監督を見た。

 「これまでなら代打でしょ。でも(監督が)『何、こっち見てんだ』みたいな感じだったから、打たなきゃ男じゃないと思った」。

 腹を決めた。ともに2軍で汗を流した岩田がプロ初先発で無安打無得点の好投。何としても勝ち星をつけてやりたかった。カウント0-1からのスライダーを振り抜くと打球は左翼の頭を越えていった。走者一掃の決勝二塁打。塁上で高々と両手を突き上げた。

 「昨夜、天ぷら屋さんに行ったら、ここに油が飛んだんです。御利益がありました!」。ひょうきん者はうれしさのあまり、丸刈り頭に残る火傷を披露。ドームを爆笑の渦に巻き込んだ。

 笑顔の裏には苦悩もあった。08年オフには背番号が「28」から「52」へ“格下げ”となり、昨季はわずか24試合の出場だった。自宅では野球を始めた小学校1年生の長男に責められた。「僕は二塁打打ったのに、パパはきょうもベンチにいたね」-。プロ13年目、苦渋をなめてきた男の意地の1打だった。【鈴木忠平】

 [2010年7月20日10時55分

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