<阪神5-4広島>◇20日◇甲子園

 阪神林威助外野手(31)が、起死回生の1号ソロを放った。延長10回に2点勝ち越され、その裏先頭で代打で登場。バックスクリーンへ特大アーチをたたき込み、鳥谷のサヨナラ弾を呼び込んだ。金本の左翼復帰で控えとなっても、勝利への執念は変わらない。首位とりのかかる今日22日の同カードも、ここぞの場面でかっ飛ばす。

 真っすぐに伸びる白球が、劇的勝利の口火だった。代打林が、2点ビハインドの延長10回に打席に入った。カウント0-1からの2球目、上野の外角球をフルスイングして、美しい放物線を描く。ファンの怒号にも似た歓声の中で、白球がバックスクリーンで大きくはねた。今季1号が、サヨナラ劇の呼び水となった。

 林

 正直、うれしい。自分はとにかく塁に出ようと思った。今年は1本も打っていないので、まさか入るとは思わなかった。センターへのホームランはなかなかないし、とりあえず抜けてくれ、と思っていた。

 衝撃的な1発だった。延長10回に安藤が2失点して沈んだチームと甲子園の雰囲気をひと振りで変えた。「代打だし、自分が1番振れるタイミングで。2ストライクに追い込まれるスイングが小さくなる。自分のタイミングで振れるか、当たるか。その準備をしっかりした」と振り返った。

 金本のスタメン復帰に伴って、代打起用となった。この日は1点リードの6回からスイングルームとベンチを往復。戦況を見つめつつ、テンションを高めていった。「ピッチャーの出来にもよるし、毎試合で準備の時間は違ってくる」。延長戦の出番でも集中力を切らさないで結果を出した。

 昨季からチームメートにジェン、蕭一傑と、同じ台湾出身の選手が加わった。31歳の林は後輩たちにとって頼れる存在だ。故郷と家族を大切にする林は、かばんに台湾の旗をモチーフにしたシンボルマークを入れている。あとに続く後輩たちのためにも結果を出す覚悟だ。

 18日ヤクルト戦で放った同点の2点三塁打に続く殊勲の一撃となった。それでも「日によって(体の)キレが違うので、いい時を保っていきたい」。ひと振り稼業として最高の仕事を果たしても、すぐに次戦を見据えていた。【益田一弘】

 [2010年7月21日12時4分

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