<日本シリーズ:中日7-8ロッテ>◇第7戦◇7日◇ナゴヤドーム
最後の最後で力尽きた。延長12回。2死二塁からロッテ岡田の打球が右翼野本の頭を越えると、中日浅尾拓也投手(26)はがっくりと体を傾け、唇を一文字に結び、顔をしかめた。セットアッパーとしては異例の4イニングのロングリリーフ。無理を承知で腕にムチを振るったが、ゼロ行進は続かなかった。
それでも涙はなかった。ロッテの胴上げを見届けた浅尾は「悔いはないです。自分の実力はここまでなんで。また来年頑張ります」と、サバサバとした表情。自分の力は出し切った-。そんな思いが強かった。
3イニング以上の登板は、先発だった09年5月13日のヤクルト戦以来、約1年半ぶり。セットアッパーとしては自己最長となる未知の世界だった。前日にも2回32球を投げ、この日も3回2/3、64球。「勝てば疲れは感じない」と、自分に言い聞かせて投げ続けたが、2日で96球。疲労は限界だった。
ペナントではチーム最多の72試合に登板し、フル回転で走り続けたが、リーグ優勝が決まると、CS前の寸暇を利用して両親、妻とともに地元・知多半島の温泉に出かけ、1泊2日で家族水入らずの時間を過ごした。「本当に久しぶりでしたね」。今シーズン初めての本格的な休養。野球から離れることで英気を養い、家族に日本一を誓って、再び戦場に戻ってきた。だが、あと一歩及ばなかった。それでも、誰も浅尾は責められない。浅尾がいたからこそ、日本シリーズまで勝ち進むことができた今シーズン。日本一は逃したが、チームの立役者は間違いなく浅尾だった。【福岡吉央】
[2010年11月8日19時38分
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