<慈善試合:中日0-3巨人>◇2日◇ナゴヤドーム

 沢村は怖くない-。中日和田一浩外野手(38)が初対戦となった巨人のドラフト1位・沢村拓一投手(23=中大)から二塁打を放った。打線は5回を4安打ゼロ封と抑え込まれはしたが、和田をはじめとして各打者は球筋を見極め、タイミングをはかるなど冷静に「データ収集」を行った。シーズンでの対戦へ向けて意義ある“1敗”。新人右腕の攻略は本番で-。

 出し惜しみなしで向かってくる大物新人を、和田は冷静にさばいた。4回の第2打席、カウント2-2からの146キロ直球をたたきつぶした。独特の強烈なスピンがきいた打球は右中間を真っ二つに破って二塁打。リーグMVPの貫禄を示した瞬間だった。

 「コントロールもそこそこだし、球も速い。いい投手だということです」。

 和田はまず新人右腕を持ち上げた。確かに5回まで4安打、無得点に封じられた。この日の結果だけで見ればオレ竜打線の完敗だ。だが、和田の表情からはそんな悲壮感はまったく伝わってこなかった。

 その理由は打席の中に見えた。遊ゴロ、右中間二塁打の2打数1安打だったが、2打席で和田がバットを振ったのはわずか2度。初回の第1打席は2ボール1ストライクからの4球目、第2打席は5球目。いずれもじっくりと選んだ。「まあまあ、それは…」。多くを語ろうとしなかった和田だが、球筋を確認していたようだ。

 4番だけではない。沢村の力を認めながらも、この日の対戦が収穫だったと強調した。「テンポもいいし、いい投手だと思う。1度対戦しておいてよかったよ」。2安打の荒木はこう言って笑った。「どんな投手か、わかっていたとしても言えないでしょう。1つ言えるのは、1回やるのとやらないのとでは全然違うということ」。2打数無安打の森野も含みをもたせた。

 首脳陣も沢村崩しの手ごたえは感じたようだ。「ベンチで見ている限りはそんなに速いという感じはしなかった。まあ、ベンちゃん(和田)なんかは自分で考えているでしょう。まだまだ先は長いんだから」。辻総合コーチはこの日の結果はあくまで“参考”に過ぎないと強調した。恐れることはない-。すべてを総合すれば、これが沢村に対する第一印象だと言える。

 「シーズンに入ればまた違ってくる。向こうも気合が入ってくるだろうしね。僕も?

 それは、わからないですよ」。

 最後に和田はこう言って、にやりと笑った。各選手の表情からは百戦錬磨の男たちのプライドが感じられた。巨人の大物新人VSオレ竜打線。この日の「完敗」が本番への布石となっているのは間違いなさそうだ。【鈴木忠平】