阿部不在の巨人だが、頼れるこの男がいる。前日7日に、阿部に代わり主将に任命された小笠原道大内野手(37)が、横浜との練習試合の7回に一時は逆転となる3ランを右中間に放った。

 3ボールから「甘い球が来たらきっちり打とう」という意識に体が鋭く反応。打った瞬間に本塁打と分かる、圧巻の1発だった。テーマに調整してきた「打撃の感覚」が完璧だったか聞かれると「あの打席では、そうだったんじゃないですか」と、表情を少しだけ緩めた。

 主将を務めるのは、日本ハム時代の05年以来6年ぶりとなる。それでも「自分の中でのイメージができていない。その都度、状況に応じてやっていきたい」と言う。だが、先発の新人沢村が初回に無死一、二塁のピンチを招くと、さりげなくマウンドへ歩を進めて間を取った。「特に変わったことをしたわけじゃない。ずっとやってきていることだから」。主将になったからではなく、いつも通りの勝利を追求する姿が、背中で、言葉で引っ張る主将像そのものを示していた。

 主将初日として迎えた開幕前最終戦を、きっちり2安打で締めた。2000安打まで11本というメモリアルシーズンを最高の形で迎えるが、「やることは一緒だから」と冷静に振り返った。主将になっても、記録が懸かっても、やるべきことは同じ。「良い形で打てたので、あとは体調管理だけ。残りの時間、気を緩めずやっていきたい」と油断も隙もなく、偉業達成とV奪回に挑む。【浜本卓也】