<ロッテ1-3ヤクルト>◇5月31日◇QVCマリン

 巡ってきたチャンスは、相手のミスがなければ回ってこなかった打席だった。1点を追う6回2死一、二塁。ヤクルト畠山和洋内野手(28)は集中力を極限まで高めた。大谷が投じた初球のスライダーが、甘く入ったのを逃さなかった。左中間を破る逆転二塁打。「外寄りの甘い球。うまくたたけました」と4番の仕事に胸を張った。

 この回の頭に円陣を組んだ。「外の球を追いすぎだ。目付けをしっかりしよう」と伊勢コーチからの言葉で吹っ切れた。それまで2三振。対戦経験のない右腕を「ビデオより速く感じた。直球とカットの区別がつかなかった」と打ちあぐんでいたが、最も必要とされた場面でとらえた。

 交流戦直前、人生初という寝違えを起こした。知らないうちに疲れがたまった。調子を落とし、オリックス戦でスタメンから外された。バレンティンとともにチームを支えたバットにかげりが見えた。

 そんな時、“事件”が起きた。27日の神宮での練習後、クラブハウスに止めてあった車のフロントガラスが鳥のふんまみれになっていた。「運がついてくるのでは」。そんなチーム関係者の言葉を裏付けるように、そこから3試合連続安打。首位に返り咲いたチームの頼れる主砲に、勢いが戻ってきた。【竹内智信】