<中日0-1阪神>◇9日◇ナゴヤドーム
指揮官の気迫も結果には結びつかなかった。中日落合博満監督(57)が1回、遅延行為によって今季初、通算8度目の退場処分を受けた。冷静な指揮官が1球にかける覚悟を示したが、課題の打線は阪神能見、藤川の前にわずか1安打、16三振を喫して今季16度目の完封負け。借金はついに落合政権ワーストの6まで膨らんだ。
落合監督が1球にかける気迫を示した。1回無死一塁の場面で英智外野手(35)はバントの構え。2球目、胸元の球にのけぞると、右手指にボールが当たったように見えた。だが、判定はファウル。ここで指揮官はベンチを飛び出した。死球ではないかとアピールする英智と小林和公球審に間に割って入った。激しい口調とアクションで抗議した。
やがて5分を超過し、ベンチからは森ヘッドコーチが迎えにきた。それでも納得がいかない落合監督は引き下がらなかった。そして、今季初の退場-。歴代3位となる通算8度目の退場だったが、初回から不退転の抗議に出るのは異例のことだ。打線の不振によって低迷している現状打破へ、オレ流のげきとも受け取れた。
それでも踊らないのが今の打線だ。7回まで直球、フォークとも抜群のキレを見せる阪神能見の前に無安打に封じられた。前日、落合監督とともに休日返上で打撃特訓を行った主砲和田も2三振を含む3打数無安打に終わった。
先発ネルソンが8回1失点と何とか踏ん張り、8回先頭の平田がノーヒットノーランの屈辱を免れる初ヒットを放った。耐えて、耐えて、つかんだ絶好の同点機だったが、ここも続く堂上直がバントを失敗した揚げ句、3球三振。浮上の芽を自ら摘み取ってしまう今季を象徴する攻撃でチャンスを逃した。終わってみれば、16三振を喫して今季16度目の完封負けだ。
試合後、落合監督は無言で球場を後にした。小林和球審はこう説明した。
「監督は『デッドボールだ。バットを引いているじゃないか、実際に英智もケガをしている。周りに聞いてくれ』ということだった。最終的には僕が判断しました。バントしにいったのが、後から当たっているのではないかということ」
監督として6度の退場のうち、5度は遅延行為。納得できなければ、引き下がらない。ベンチを出た時点で覚悟しているという。この日も審判の「(抗議時間が)3分ですよ」という警告に「わかった」と返事をしたというが、最後まで下がらなかった。冷静な指揮官が見せた勝負に対する執念。それだけにわずか1安打での完封負けが、余計にむなしかった。【鈴木忠平】



