<楽天1-9オリックス>◇7日◇Kスタ宮城

 9月男で9連勝だ。オリックス中山慎也投手(29)が8回1死までノーヒットと快挙を予感させる快投で、チーム14年ぶりの9連勝を運んできた。プロ14勝のうち7勝が9月という「ミスター・セプテンバー」が3位を争う楽天に強烈なダメージを与えた。好調打線はここ9戦で7度目の先制から流れよく大量援護。7月9日以来の貯金1を蓄えた。

 木訥(ぼくとつ)な中山は逃した偉業より勝利を喜んだ。仲間から「惜しかったな」と背中をたたかれ、はにかみ笑いを返した。「悔しいというより勝ってホッとしています」。頭を下げ、少し自信なさげな顔で最後にバスに乗り込むと、祝福の拍手を受けた。また体を小さくして頭を下げた。

 そんな人柄と反対に楽天打線を余裕であしらった。右打者の内角を突くカットボールが効き、凡打の山を築いた。8回1死まで四死球で3人を歩かせただけ。楽天ベンチにいたオリックスOBの佐藤投手コーチ以来、球団16年ぶりの無安打無得点が目前だった。「分かっていました。8回、先頭を打ち取って欲が出たんですかね」。前進守備で快挙をアシストしようとした左中間を牧田に破られ、苦笑い。2死から聖沢に適時打を浴び、プロ初完封も逃した。それでも完投で6勝目。記録を逃しても白星の鮮やかさは変わらない。

 オリックス先発ローテで唯一の左腕。前半戦は勝利の権利目前の5回に崩れ、岡田監督に精神面の弱さを怒られたこともある。「自分の速いテンポで投げ、(白星を)意識しない」と言い聞かせ、自身4連勝とした。

 通算14勝中7勝を挙げる9月が中山の旬。プロ初完投勝利を挙げた昨年9月3日のソフトバンク戦。松中に4打数2安打されたが、残る2打席を抑えたことが不思議と自信になった。「そのうちの1球だけ携帯電話の中に映像を入れています。あれが分岐点のような気がして」。1年前の自分を支えに今年の9月も2勝。寝違え防止のため遠征先にも持参するそば殻枕でこの夜もぐっすり眠った。

 中山の快投で14年ぶりの9連勝。ベンチ裏に岡田節が響き渡った。「惜しかったけどな。自分のボール投げたら抑えられるいうことよ」。3位攻防戦に連勝し、CS進出へ前進。緊張感ある戦いに「選手は今どういう順位にいるか分かってる。9月が勝負て言うてたやん!」。8月も勝負と言い続けたが、大型連勝の前でそんな細かいことは言いっこなしだ。【押谷謙爾】