ディー・エヌ・エー(DeNA)が、球界参入に手応えを見せた。TBSホールディングス(HD)と横浜球団の譲渡で交渉合意した同社は10日、都内のホテルで日本野球機構(NPB)によるヒアリングに臨んだ。NPBからの6項目に及ぶ質問に答えるとともに、自社サービスを活用しての集客策で、球界発展へ寄与する意気込みを示した。淡々と進んだヒアリングを終え、春田真会長(42)は「いい結果につながると信じている」などと、手応えを口にした。今後は財務監査や2度の臨時実行委員会を経て、12月1日のオーナー会議で承認される。

 ヒアリングを終えた春田会長は、時折笑顔も交えながら振り返った。「しっかりと説明はできましたね。野球界への思いをきっちりお話しさせていただいた。それがいい結果につながると信じています」。初めての直接説明の場で、球界参入への意欲を伝えられたことに、手応えを漂わせた。

 加藤コミッショナーと12球団の関係者が居並ぶ前に、DeNA側7人が座る形で行われた。6項目の質問事項と、それに付随する疑問点に答えた。球団長期保有の意思、サービスの健全性、本拠地横浜に根付いた地域密着での経営を説明しながら、自己アピールも忘れなかった。自社サービスを活用しての集客構想だった。

 (1)モバゲー内での野球中継

 スマートフォン上で、野球中継を行いながら、利用者が応援メッセージを書き込めるような仕組みを構築。

 (2)新たな野球ゲームの製作

 実際の試合の選手成績をすぐにゲームに反映させ、リアルデータと結び付ける。

 いずれもモバゲーの双方向性を最大限に活用し、実際の試合に足を運んでもらおうというアイデアだという。守安社長は「月に1回でも家族や友人と球場に足を運ぶような球団運営をしたい。地方などで球場に来たくても来られない方には、当社のインターネットサービスを通じて、他のユーザーと一緒に応援することを推進していきたい」と説明した。実現には権利問題などクリアすべき点は多く、現在では構想段階だが、同社なりの考えを示した。

 「横浜DeNAベイスターズ」で申請している球団名についても、変更の可能性を問われた。これについて守安社長は「球団名にサービス名を入れるために、会社名を変えることは考えていない」と説明した。だが、他球団の中からは「明確に変えないという言質はなかった」という声もあった。同社はTBSHDとの交渉過程でサービス名の「モバゲー」を球団名に入れる考えだった。

 この日のアピールで、NPB側に意欲は伝わったか-。12月1日の吉報を待つ。