巨人の白石興二郎オーナー(65)が19日、今季の圧倒的な独走優勝を厳命した。この日、都内で行われたスタッフ会議に出席。冒頭の訓示で「2012年を無敵ジャイアンツ時代再来のスタートとなる『再興元年』としなければなりません。V2、V3、さらにV10を目指す飛躍の年にしなければならない」と話した。

 リーグ優勝を逃したこの2年間を「耐え難きを耐える臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の日々」と表現。今季は一転し「球界の覇者となる年を迎えました」と話す。「V9時代も楽をして勝っていた状況ではない。いろいろ七転八倒して結果的にできた」とOBの談話も踏まえた上で「伝統と栄光のある巨人の目指すべきは、やはり過去の栄光をさらに飛躍させることですから、当然、V10を目指すという目標を掲げながら精進してもらいたい」と、10連覇のノルマにブレはない。「当然」とも言った。

 「無敵ジャイアンツ」と呼ばれるため「勝ち星の数は別として、余裕のある勝ち方で、セ・リーグ優勝と日本シリーズ優勝と完全優勝を遂げてもらいたい」と、敵ファンに嫌われるほどの勝ちっぷりを希望した。同オーナーは新年のあいさつで、渡辺会長の「悪名は無名に勝る」という言葉を引用し「球界のヒール役」になることも辞さない覚悟を明かしていた。初のスタッフ会議で早速、大胆構想を披露した格好だ。原監督は「我々は足元を見て、10というのも、まず1がないと。1というものをしっかり見据えた状態で戦う」と、新オーナーの期待をどっしりと受け止めた。【金子航】

 ◆白石興二郎(しらいし・こうじろう)1946年(昭21)9月8日、富山県出身。京大文学部文学科卒業。69年に読売新聞社入社。政治部次長、論説委員、執行委員メディア戦略局長、執行役員社長室長、取締役編集局長、常務調査研究本部長、常務論説委員長などを歴任。11年6月に読売新聞グループ本社代表取締役社長に就任した。