巨人坂本勇人内野手(23)が試行錯誤の末に「1本足打法」で開幕を迎える。雨天中止となった23日DeNA戦(横浜)前の打撃練習では左足をすっと上げてタイミングを取り、鋭くバットを振り抜く姿があった。今季はすり足打法に着手したが、最近は昨季までの足を上げる打撃フォームに近づいていた。坂本は「試す時期じゃないですから」と、このまま30日の開幕に臨む考えのようだ。

 すり足と1本足の違いは何か。江藤打撃コーチは「一長一短がある。一般的に言えば、足を上げると体重が乗るし、すり足だと確率が上がる」と説明。ただ、「人間の体は人それぞれ違うから」と、どちらが正解というものでもない。昨季の坂本は打率2割6分2厘。正確性を高めるべく「タイミングをどうとるか。打ちやすいようにどうすればいいか」と、足の上げ方や構えた時のバットのヘッド位置など、いろいろ試した。

 オープン戦中盤には21打席連続無安打に陥るなど順調とはいかなかったが、「足の上げ方ばかりを考えるとうまくいかない」と気付いた。現在は4試合連続安打中で、打球の方向は5安打中4本が左。18日ロッテ戦では外角変化球を左翼へ運び「良くなってる時はああいう安打が出る」。原監督にスイングチェックしてもらった翌日20日のヤクルト戦では左二塁打2本。長いリーチと柔らかなリストワークを生かし外角球を拾える坂本の特長が、打球に出てきた。広角に打てるようにとすり足に着手したが、長所を出せる1本足に近い形に落ち着き、兆しが見えてきた。

 坂本は言う。「(今までの形に)戻したんじゃないんです」。過去に戻るのではなく、助言を受け、考え、模索し、行き着いたのが今の形だ。開幕まで残り3試合。足だけでなく、打撃状態も「アゲアゲ」の若きリードオフマンが、このまま一気に無敵打線を引っ張っていく。【浜本卓也】

 ◆1本足打法の主な選手

 王貞治(元巨人)が最も有名で、4年目の62年7月1日から実戦で定着させ本塁打を量産した。投手側の足を高く上げてから、その状態を長く保つため「フラミンゴ打法」とも呼ばれた。この「王型」には片平晋作(元大洋)大豊泰昭(元中日)ら。王とはタイプが異なるが、田淵幸一(元西武)池山隆寛(元ヤクルト)立浪和義(元中日)、現役では高橋由伸(巨人)らも1本足打法と言われる。