先輩の「心」、受け継いでいきます-。松井秀喜外野手(38=前レイズ)と同じ石川県出身で星稜高の後輩でもある巨人高木京介投手(23)が29日、同校で自主トレを行った。高校時代には左の長距離砲として「ゴジラ2世」と呼ばれた。前日28日朝の松井の引退会見は、テレビ画面を食い入るように見つめて「言葉をかみしめて聞いて、グッと来ました」と言う。「松井さんになれるわけがない。お会いしたこともないし、比べるなんておこがましい。後輩なだけです」と謙虚に構えつつ、偉大な先輩も過ごした母校で、高木京は決意を新たにした。

 高木京

 少しでも近づけるように努力をしなくてはいけない。成績はもちろんですけど、きっと野球に対する取り組み方や姿勢で、多くの野球人だけじゃなく、あれだけ多くの人に愛されたんだと思う。後輩として、自分も恥じないように野球に取り組んでいく。それだけは絶対に守ろうと、あらためて思いました。

 今季は新人ながら中継ぎとして34試合登板で防御率0・57と活躍し、年俸も2000万円(金額は推定)と1200万円もアップした。母校に帰ると、新背番号「28」のジャージー姿を見た山下名誉監督から「28になったのか。頑張ったじゃないか」と、お褒めの言葉ももらった。

 それでも、浮かれはしない。松井先輩の姿に、抱き続けてきた「野球だけやってればいいんじゃない。みんなが応援したくなるような、愛される選手になりたい」との思いは間違いではないと、確信を得た。同郷かつ星稜の後輩として、日本で、米国で、多くの人に愛された憧れの先輩の思いを継承し、これからも真摯(しんし)に野球に打ち込んでいく。【浜本卓也】

 ◆今季の高木京の活躍

 国学院大からドラフト4位で入団し、開幕1軍を果たす。4月に左肩痛で2軍落ちしたが、6月に1軍復帰。貴重な中継ぎ左腕として頭角を現し、7月7日阪神戦でプロ初勝利を挙げた。9月16日阪神戦(東京ドーム)では4-2の7回2死満塁で金本を空振り三振に仕留め、22試合連続無失点のセ・リーグ新人タイ記録をマーク。その後、記録を29試合まで伸ばした。日本シリーズ第6戦では7回のピンチに登板して無失点に抑えて勝ち投手になるなど度胸満点の投球。今季は34試合に登板し2勝1セーブ、防御率0・57。来季の背番号は「57」から「28」に変更となった。実直な人柄で先輩たちからかわいがられ、「マキバオー」「ジミーちゃん」などの愛称を持つ。