“新入生”の「アブちゃん」が、中田のライバルに急浮上した。19日にテスト入団したばかりの日本ハム、ミチェル・アブレイユ内野手(34=メキシカンリーグ)が20日、ヤクルトとの練習試合(浦添)で2安打を放った。時差ぼけも解消され、状態も上昇中。打撃力の高さに、栗山英樹監督(51)は「真ん中に座れる可能性がある」と、4番起用も示唆した。

 目立ったのは、ただひとり練習用ユニホームを着ているから…ではない。テスト生から、前日19日に正式入団したばかりのアブレイユが、ヤクルトとの練習試合で4打数2安打と自慢の打撃をアピールした。「日に日にタイミングがよくなっているので、コンディションが上がっている感触はある」。背番号42のユニホームは作製中だが「その日を待ちたいね」と、心を躍らせた。

 4回1死一塁の場面でロマンから三遊間を破る左前打を放つと、8回には左翼線際のフェンスを直撃する弾丸ライナーの大ファウルを放ち(その後二塁内野安打)、持ち前のパワーも見せつけた。今月8日の来日直後は激しい時差ぼけに悩まされ、夜中に起床し、練習終了後は宿舎に帰ってすぐに眠りに就く、悪循環に苦しんだ。だがようやく生活リズムが整うと、本来の打撃を取り戻しはじめた。

 中軸を打っていた糸井がトレードで抜けたこともあり、栗山監督は大きな期待をかける。「(出場すれば)自然と結果は出る。真ん中に座れる可能性がある。(チームにとって)非常に大きなものになる可能性がある」と、4番打者候補として考えていることを明かした。

 打撃力を生かすためには、常時レギュラーとして使いたい。この日は途中から一塁の守備に就いたが、そこはWBCで抜けている稲葉のポジション。栗山監督は「外野を守れるのかどうなのか、コーチにもお願いはした。このオープン戦で(起用の幅を)広げていきたい」と、あらゆる可能性を探りながら、最善の起用法を見つけていく。

 「試合に出続けて、貢献していきたい」とアブレイユ。昨季全試合で4番を務めた“翔ちゃん”が不在のうちに、アブちゃんは猛アピールを展開する。【本間翼】

 ◆ミチェル・アブレイユ

 1979年1月2日、キューバ・マタンサス州生まれ。99年にキューバ代表として来日経験がある。その後、亡命して06年にドラフト外でメッツに入団。09年までマイナーに在籍し、10年からメキシカンリーグのタバスコに移籍。12年は同リーグのモンテレイで108試合に出場。打率3割7分1厘、29本塁打、106打点といずれも自己最高の数字を残した。今季の推定年俸は2000万円。家族は夫人と1男1女。187センチ、111キロ。右投げ右打ち。