<ソフトバンク4-8楽天>◇6日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンクが「星野流采配」に屈した。4-3と勝ち越した3回途中から、楽天は前日5日に1回4失点KOした則本を2番手で送り込んできた。今季3戦3勝と飼いならしたはずの右腕から無失点リレーを決められ、自軍の先発パディーヤは逆転を許した。この半月で2勝した摂津の先発日以外は9敗。2桁安打試合は7連敗と、秋山采配がはまらない。

 まるで死んだ人間がよみがえる映画「ゾンビ」のように不気味な、いや、鮮やかな、楽天則本の復活をみせつけられた。

 楽天の先発戸村から2度目の勝ち越しに成功した3回途中だった。前夜に1回4失点とやっつけ、相手ベンチに追い返した新人右腕がまたマウンドに出てきた。秋山幸二監督(51)は「あの展開では来てもおかしくない」と想定していたが、まさか白星までかっさらわれたのは想定外だった。

 3戦3勝とお得意さま、前夜KOの記憶も生々しいルーキーに何と、ここから6回までわずか2安打、無得点に抑えられた。前夜との違いを問われた指揮官は「ないんじゃないの」と一蹴。それより、この間に起きたパディーヤの背信投球にがっかりだった。

 2回以外は毎回走者を出し、クイックモーションでは制球力が低下。打線の踏ん張りをフイにし、5回にあっさり逆転を許した。

 捕手山崎のサインに何度も首を振り、配球面で自己主張を重ねた。高山投手コーチは「何も言わない」と口をつぐんだ。デビュー当初から改善を求めてきたメジャー流の投手主導の配球を認めたようだ。1回のジョーンズにはオール直球勝負で2ランを献上していた。

 「先発投手が形をつくってイニングをつくっていかないと。中継ぎに負担がかかっている。打つ方は点を取っている。ヒットも10本以上打っているから。(先発が)早いイニングで、はい、終わりじゃ困る」

 指揮官のボヤキ節も2日ぶりに復活した。先発でゲーム序盤をつぶしたのは楽天も同じ。前夜の敗戦投手で星野監督を勝たせてしまったのは皮肉だった。

 この2週間11試合で摂津が2勝し、摂津の先発日以外は9敗という極端な結果になっている。おまけに2桁安打試合は7連敗とゾッとするようなかみ合わせの悪さ。チームの歯車を直して則本のようによみがえりたいところだ。【押谷謙爾】