阪神藤浪晋太郎投手(19)が今日14日のDeNA戦で前半戦ラストの先発に臨む。ここまで5勝3敗と好成績を残しているが「前半の、おそらくラストの登板になると思うので、思い切っていきたいですし、勝ちにこだわってやっていきたい」と意気込んだ。

 藤浪にとってプロ初のナイター戦だが「試合の時間が変わるだけで、試合前の練習が短くなるとかもないですし。起きる時間も変わりますけど、そこは影響はないと思います」と心配なしを強調した。根拠もある。昨夏の甲子園大会後の18U世界野球選手権(ソウル)ではナイター3試合に登板。ベストナインに選ばれる活躍を見せていた。

 背中を押される出来事もあった。13日の試合前、戦前の阪神エース・故西村幸生氏の長女である津野田ジョイス幸子さん(75)の激励を受けた。西村氏は巨人キラーと呼ばれ、3年で55勝を挙げたが、45年に戦死。背番号19の大先輩の遺志を継ぐ藤浪は、ジョイスさんと対面し「偉大な方たちが付けられた背番号なので、誇りに思います」と話した。ジョイスさんからは西村氏の伝記をプレゼントされるなど、あらためて19番の重みを再認識した。

 大先輩の夢も託され、区切りの登板に向かう。チームの逆転優勝へ、今季の目標を「2桁勝ちたい」と誓う19歳は、球宴へ、そして後半戦へと弾みをつける白星をつかみにいく。【山本大地】

 ◆西村幸生(にしむら・ゆきお)1910年(明43)11月10日、三重県生まれ。三重・山田中-愛知電鉄-関大を経て、37年阪神入団。チームが37年秋、38年春と連覇した際、最多勝(37年秋)、最優秀防御率(37年秋、38年春)を獲得し、球団創生期のエースとして活躍。45年戦死。77年野球殿堂入り。実働3年で通算112試合に登板し、55勝21敗、防御率2・01。現役時代は167センチ、64キロ。右投げ右打ち。