<ヤクルト3-6DeNA>◇9月30日◇神宮

 ドヤ顔で打球を見送り、バットを放り投げた。2点ビハインドの5回2死一、二塁。DeNAトニ・ブランコ内野手(32)の39号逆転3ランは左翼席中段で弾んだ。「久しぶりに自分らしい打球だった。最高の気分だよ」と自画自賛の一振りは、通算150号の節目のアーチとなった。

 3回、打点王を争うバレンティンのどでかい1発が目の前で飛び出した。それでも焦りはなかった。「ライバルじゃなくアミーゴ(友達)だよ。自分が投手ならライバルだけどね。お互い支え合う友達だよ」。同じラテン系として、ほぼ毎日電話をする仲。バレンティンの本塁打日本記録更新も、自分のことのように喜んだ。2打席連発で自身初の40号を放った7回終了後にすれ違った際には、「(バレンティンが)『ホームランよかったな』と言ってきたから、『あと6試合あるから、お前も打点王もいけるよ』って返したんだ」。異国で4番を張る者同士、互いを励まし合う。

 これで134打点となり、09年以来のタイトルが見えてきた。それでも記録への執着はない。「一番に考えているのはチームの勝利」だからこそ、この日の2発5打点がうれしかった。

 中畑監督も主砲の活躍を大絶賛。「バレンティンばかり注目がいっていたけど、はねのけてくれたね。前進できる大きな1勝」とたたえた。ブランコは打率も3割3分に上げ、トップのバレンティンに2厘差。初の首位打者も見えてきた。「今の調子ではいけると思うけど、運に任せるよ」。チームはあと1勝で5年続いた最下位脱出が確定。残り3試合、2冠宣言の4番のバットが、不名誉記録を終わらせる。【佐竹実】

 ▼通算150本塁打=ブランコ(DeNA)

 30日のヤクルト24回戦(神宮)の5回、村中から今季39号を放って達成。プロ野球159人目。初本塁打は、中日時代の09年4月3日の横浜1回戦(ナゴヤドーム)で三浦から。