巨人が、西武から国内フリーエージェント(FA)権行使を表明した片岡治大内野手(30)の獲得が濃厚になっていることが23日、分かった。片岡には楽天、オリックスがすでに交渉を行い、ともに3年5億円以上の大型契約を提示したとみられる。慎重に調査を続けてきた巨人の高評価は変わらず、早ければ今週中にも交渉のテーブルを設けるものとみられる。向上心の強い片岡が老舗球団を選択し、一気に「巨人片岡」が誕生する可能性がある。

 巨人が片岡獲得へ一気に動く。11月14日のFA選手公示後も、片岡については直接の交渉を急ぐことなく、慎重に調査を続けてきた。重要な補強ポイントである正二塁手の確立に欠かせない存在であると判断し、週明けにも交渉の席を設ける公算が大きくなった。

 片岡はこの日、西武のファン感謝デーイベントに参加した。去就について「悩むとは思いますけど、最後は思い切って決めます」と話した。権利を行使するか揺れていたさなか口にした「チャレンジしたい気持ちがある」という初志を貫く可能性が高い。

 交渉を行った楽天、オリックスからは、ともに複数年の大型契約を提示された。巨人は大竹に対してのFA交渉で行ったように、実力に対する客観的な評価をする、独自スタイルで交渉を行うとみられる。FA交渉でのマネーゲームを行う計画はなく、条件面では先の2球団に劣る可能性がある。

 獲得を検討する各球団の選手層を比較すれば、巨人が最も厚みがある。その上に、実力者である井端の加入も決まった。寺内、中井の若手を加えた二塁手の定位置争いは激化する。だが、片岡に近い関係者の話を総合すると、愛着ある西武からFA権を行使した以上、最も厳しい環境で勝負したい気持ちが強いという。ここ数年故障で苦しんでいるが、12球団屈指のトレーニング施設を誇るジャイアンツ球場を持ち、ドームを本拠地とする巨人は環境面でも有利だ。

 人気と実力を兼ね備えた西武の看板選手が、不退転の決意で臨むFA交渉。今季まで谷が背負い、かつては原監督の代名詞だった背番号「8」を用意している。心意気に応えるべく「巨人片岡」の実現を目指す。