巨人長嶋茂雄終身名誉監督(77)と愛弟子の松井秀喜臨時コーチ(39)が巨人の宮崎キャンプ第3クール初日の11日、02年の春季キャンプ以来12年ぶりに思い出の詰まった地に並んで立った。

 宮崎の空気が高揚感を生み出した。ミスターが選手、首脳陣が作った円陣に向かった。独特の甲高い声が宮崎の空に響く。「勝つ、勝つ、勝つぞ~!」。左手をいっぱいに突き上げ、愛する巨人軍に闘争心を注入した。原監督も交え、3人で野球談議をして、左手でスイングするしぐさも見せた。松井コーチが亀井を相手に打撃投手として97球を投げ込む姿も見守った。「体が強いよね。毎日150、160球を投げているんでしょう?

 強いよ」。現役時代と変わらぬ頑強さをたたえた。

 松井コーチは「取りえはそこだけだから」と笑った。現役時代は恩師に毎日のように練習につき合ってもらった。指導者としてのベースにあるものは、受け継がれている。宮崎まで訪れた長島終身名誉監督にその姿を見せることができた。

 ミスターは率先して指導するリーダーシップに「そういう方向に(なってほしい)ね」と期待した。松井コーチは「長嶋監督は球場が良く似合う。近くにいて、そう思った」と目を細めた。12年ぶりの“合体”を今キャンプ最多4万2000人のファンが見守った。ぜいたくな競演に2人が、そして周囲が浸った。【広重竜太郎】