最速153キロのドラフト目玉左腕、東洋大・藤岡貴裕投手(4年=桐生一)が、今日27日のドラフト会議を前に改めて「12球団OK」の姿勢を強調した。26日、東都大学リーグの青学大2回戦でベンチ入り。登板はなかったが、前日に球団売却問題に揺れる横浜が1位指名を表明したことを受けて「選んでくれるチームがあればそこで頑張っていきたい」と話し、交渉権を獲得した球団に入団する意思を見せた。

 身売り騒動に揺れる球団相手でも、藤岡の誠意は変わらなかった。前日25日の編成会議で、横浜が藤岡のドラフト1位指名を決定。これを伝え聞くと「選んでくれたチームでやっていきたい。(12球団OKということか、との問いに)そういうことになると思います」と言葉を選んだ。

 高橋昭雄監督(63)の方針もあり、東洋大の選手は基本的に全球団歓迎スタンス。藤岡も例外ではない。「すぐ先発ローテに入れるチームもいいけど、投手層の厚いところで、自分を磨くのもいい。地域性は特に考えてないです」。関東の群馬県出身。1位表明はロッテと横浜の2球団だが、必要とあらば、戦力や本拠地は気にしない。1番人気左腕の一貫した姿勢は、プロ側にもありがたい話だ。

 運命のドラフトは、まさかの試合と重なることになった。この日東都大学リーグの青学大2回戦で敗れ、1勝1敗で勝負は3回戦へ。登板がなくても「キャッチボールをしない日があると嫌なんで」と、9回には自主的にブルペンに入った。1回戦が最終登板だったはずだが、高橋監督が「藤岡を使わない、とは今日は言いません」と話すなど、指名前にマウンドに立つ可能性もゼロではない。

 試合後の表情は、普段より少しこわばっていた。「やっと来たなという感じ。どこがあたるのか、徐々に緊張し始めてます。プロでは(高校時代に)自分たちの代のスターだった、中田翔選手と対戦してみたい」。運命の時はもうすぐそこ。目に映るビジョンも、鮮やかに色づいてきている。【鎌田良美】