<プロ野球ドラフト会議>◇24日

 目指せアニキのトリプルスリー!

 阪神は2位で鹿児島実の横田慎太郎外野手(3年)を指名した。父真之さん(50)も元プロ野球選手で、ロッテなどで俊足巧打の外野手として活躍。横田は最速141キロの左腕としても注目されたが、プロでは外野手一本で勝負。「走攻守すべてにトップレベルを目指したい」。3割30本塁打30盗塁のトリプルスリーを達成した“アニキ”金本知憲氏のような選手像を描いた。

 一瞬、ポカンとした表情だった。「まさか2位でくるとは。びっくりです」。横田は鹿児島実・宮下監督とインターネットでドラフト状況を追っていた。「阪神2位指名」にポカン。「長かったです。待っている間、緊張と不安しかなかった」という声が震えた。

 打って走れて守れる。3拍子すべてそろった外野手として評価を得た。高校通算29本塁打と長打力があり、50メートル走は6秒1。そして投手としても、最速141キロ左腕として注目された。プロでは外野手一本で勝負。「オリックス糸井さんのようにすべてにトップレベルを目指したい。走攻守3拍子そろった日本を代表するプレーヤーにです」。阪神の偉大なOBにトリプルスリーを達成した金本氏がいる。「(金本氏のように)タイトルをとれる選手になりたい」と夢を描いた。

 父子での夢もかなえた。父の真之さんは、ロッテなどで活躍した元プロ野球選手。現役を引退した年に横田は生まれた。「(父の現役時代は)映像で見たことがない。写真でしか…。周りから『いい選手だった』と聞くだけで」。それでも中学まで手ほどきを受けた父は偉大な存在だった。「父はまだ遠い存在。いつか超えたい気持ちはあります」と目標に掲げた。

 高校時代、行きたくてたまらなかった甲子園が本拠地となる。中学時代の目覚ましは、甲子園大会の試合開始を告げるサイレンの音だった。鹿実で甲子園。それだけあこがれながら夏の大会では、決勝で2度も負けてかなわなかった。「指名を受けて、甲子園が浮かんできました。ファンは熱い方ばかりですが、鹿実でのプレッシャーを乗り越えてきたので自信はあります」ときっぱり言い放った。

 高校時代は左翼手だったが、引退後に中堅手として練習しているという。「外野ならどこでも守れるように」と早くもプロへの備えも十分だ。強肩、強打、俊足の逸材が、未経験の甲子園を沸かせる。【実藤健一】<横田慎太郎(よこた・しんたろう)アラカルト>

 ◆生まれ

 1995年(平7)6月9日、東京生まれ。3歳時に鹿児島へ。

 ◆球歴

 湯田小3年からソフトボールを始める。東市来中では軟式野球部。鹿児島実では1年から4番で一塁手。

 ◆実績

 高校通算29本塁打。50メートル走6秒1。遠投105メートル。今春から投手も兼任し最速141キロ。

 ◆父子鷹

 父真之さん(50)はロッテなどで俊足巧打の外野手として活躍。母まなみさん(51)。姉真子さん(19)は鹿児島女バレー部で全国大会に出場し、現在鹿屋体育大。

 ◆サイズ

 186センチ85キロ。左投げ左打ち。

 ◆好物

 魚の干物