「K-1 WORLD GP 2015 ~-70kg初代王座決定トーナメント~」(7月4日、東京・代々木第2体育館、日刊スポーツ新聞社後援)の1回戦で、アルメニアのマラット・グレゴリアンと対戦する山崎陽一がインタビューに応じた。

 -今回のK-1出場が決まった時の心境を聞かせていただけますか?

 「ずっとK-1のトーナメントに出たいと思っていたので、素直にうれしいのと『やってやろう』という気持ちですね」

 -山崎選手は4月に第3代Krush-70kg級王座決定トーナメント決勝で中島弘貴選手に敗れて、もうK-1出場のチャンスはないかもしれないと思っていましたか?

 「はい。去年、新しいK-1がスタートして、来年は絶対に70kgのトーナメントがあると思っていました。すでに第3代Krush-70kg級王座決定トーナメントへの出場が決まっていたので、絶対にKrushのチャンピオンになってK-1に出場してやろう、と。だからタイトルを取れなかった時にK-1には出られないんだろうなと思いました。その中でオファーをいただいて、すぐに気持ちを切り替えるのは難しかったですが、今はもう完全にK-1のトーナメントに気持ちが切り替わっています」

 -山崎選手は格闘技をやる上でK-1からどんな影響を受けましたか?

 「どんな影響というか…K-1からしか影響を受けてないですね。自分は福島が地元なんですけど、当時は格闘技をやる環境が少なくて、格闘技=テレビで見るK-1くらいだったんですよね。それで中学校の時にK-1ヘビー級を見てハマって、毎回ビデオに録画していました。それから高校生の時にK-1MAXが始まって、ヘビー級と同じように毎回ビデオに録画して…。だから格闘技に関してはK-1からしか影響を受けてないです」

 -ヘビー級で好きだった選手はいますか?

 「ずっとピーター・アーツが好きで、それからマーク・ハントも好きになって、その2人が僕の中ではツートップでした」

 -K-1MAXで自分とあまり変わらない体格の選手が戦っている姿を見て、どんなことを思いましたか?

 「『70kgのK-1もあるんだな』と思ったくらいですかね。やっぱり格闘技をやる環境がなかったので、自分が出たいと思うことはなかったです」

 -山崎選手は格闘技を始めるまでサッカーをやっていたんですよね

 「幼稚園からサッカーを始めて、小・中・高・大学までサッカーをやっていました。小・中では全国大会に出て、高校では福島県代表で国立(競技場)で試合をしましたし、大学でも全国大会に出場しました」

 -ではそのままプロの道も考えていたのですか?

 「はい。大学卒業後にJリーガーになろうと思ってセレクションを受けたのですが、その夢がかなわなくて。その時にもうサッカーはいいやと思ったんですよね。当時は23歳で格闘技を始めるには遅いなと思ったのですが、今しか出来ないことだし、今やらなかったら後悔すると思って、大学を卒業してからシルバーウルフに入りました」

 -今は子供の頃から格闘技をやってプロになる選手も多いですが、格闘技をやりたいという気持ちの方が勝っていたのですか?

 「そうですね。サッカーがダメで、大学を卒業して普通に働いて生きていくことを考えたら…無理だなと思いました。同じ働くにしても何か目標を持って、それに向かって生きていかないと自分はダメになると思っていました」

 -数あるジムの中でシルバーウルフを選んだのはK-1に出たいという目標があったからですか?

 「当時はそういった目標があったわけじゃなくて、キックを始めて強くなりたいということが目標でした。それで自分と同じ階級で世界チャンピオンの魔裟斗さんがいるシルバーウルフに入ったら強くなる近道だと思って入りました」

 -山崎選手が入った当初は魔裟斗さんもまだ現役でしたよね

 「はい。魔裟斗さんはオーラが半端なくて、テレビで見るよりも(オーラが)すごかったです」

 -1回戦で対戦するグレゴリアンは、現GLORY世界ライト級王者のロビン・ファン・ロスマーレンとほぼ互角に戦っている世界トップクラスの強豪です。記者会見では自分とかみ合うと言っていましたが、どんな試合になると予想していますか?

 「本当に倒すか倒されるかの激しい試合になると思います。そこで相手のパンチをもらわず倒す試合をしたいです」

 -今回のK-1参戦で初めて山崎選手の試合を見る人も多いと思います。自分のどこを見て欲しいですか?

 「自分はガンガン前に行くスタイルなので、パンチで前に出てKOするところを見てもらいたいです」

 -対戦カード発表会見では「僕が生まれ育った福島県いわき市の人に夢を与えられる試合を約束します」という言葉もありました。あらためてその思いを聞かせていただけますか?

 「4年前の震災で、地元は津波でやられましたし、今でも原発の問題で家に帰ることが出来ない友達もたくさんいます。福島出身の自分が格闘技で活躍することで、それが福島の人たちの希望になるかどうかは分かりませんが、少しでも自分の活躍で地元が元気になってくれたらいいな、と。それは震災が起きた後からずっと思っていることです。だから今回のK-1参戦を通じて、福島の人たちにそういったものを伝えたいと思います」

 ◆山崎陽一(やまざき・よういち) 1983年(昭58)11月8日、福島県いわき市生まれ。33戦20勝(13KO)10敗3分。174センチ。シルバーウルフ所属。

 入場料金など詳細および問い合わせは、K-1=http://www.k-1wg.com/へ。