【米シカゴ15日(日本時間16日)=奥山将志】元世界3階級王者亀田興毅(28=亀田)が約2年ぶりの世界戦に背水の陣で臨む。今日16日のWBA世界スーパーフライ級王者河野公平(34=ワタナベ)戦に向け、シカゴ市内のホテルで行われた前日計量はリミットの52・1キロでクリア。ジム会長らの処分により、国内で試合が出来ない状況は続く。日本人初の4階級制覇で、未来を切り開く決意だ。

 計量を終えた興毅は、ゆっくりと水を口に含み、続けて計量器に乗る河野の様子を見つめていた。クリアが告げられると、即座に額がぶつかるほどの激しいにらみ合いを展開。一瞬間が空くと、自身がCMに出演しているチョコレート菓子「スニッカーズ」を取り出し河野に手渡した。「必死に俺の顔を見てたから、腹減ってんのかなと思って」。してやったりの表情を浮かべ、王者に揺さぶりをかけた。

 勝てば日本人初の4階級制覇も、敗れれば、その先に待つ現実は厳しい。13年12月の次男大毅の世界戦混乱問題により日本ボクシングコミッション(JBC)からジム会長らが処分を受け、国内で試合ができない状況は続く。その間に指名挑戦者として浮上した河野戦。陣営は実現最優先で交渉を重ね、前例のない海外での日本人対決にこぎ着けた。

 試合を翌日に控えた興毅は、王座奪取の意味を「これから世界で戦っていくための切符」と表現した。このまま無冠の状態が続けば、今後の選択肢がさらに狭まることは分かっている。「日本中、善くも悪くも全員が亀田のことは知っている。次は世界。カメダと聞けばボクシングとなるところまで上り詰めたい」と言葉に力を込めた。

 約2年ぶりの世界戦へ、準備は整った。「(河野とは)役者が違う。俺には抑えきれないカリスマ性がある。100%勝つよ」。威勢の良い言葉を並べ、負けの許されないリングに立つ。