【上海29日=奥山将志】プロボクシングのWBC世界ミドル級5位村田諒太(30=帝拳)が「御前試合」で、世界につながる1歩を踏み出す。今日30日のプロ第9戦の計量が市内のホテルで行われ、リミットを900グラム下回る72・5キロでパス。対戦相手のWBCスペイン語圏同級王者ベガとも初対面し「非常に調子は良い。結果としてKOできれば」と完勝を誓った。

 昨年11月の米ラスベガスでのプロ第8戦では、消化不良の判定勝ち。前夜に当地入りした、米プロモート大手トップランク社を率いるボブ・アラム氏は「前回の試合は少し残念だった。今年は彼にとって重要な1年になる。リングの上でアピールしてほしい」とあらためて内容を求める構えを示した。多くの中国メディアに囲まれ、世界挑戦について聞かれた村田も置かれた立場は分かっている。「今年は勝負の年。すべてをかけたい」と言い切った。

 計量を終えると、オニオンスープ、米、ステーキを食べエネルギーを補給。陣営関係者と談笑するなど、リラックスしたムードで試合前日の公式行事を終えた。13年8月のデビューから約2年半。プロで多くの経験を積む中で、今回の試合に向け、右ストレートを主体とした、五輪を制した攻撃的なスタイルに戻した。「国内で世界挑戦するのが難しいのは分かっている。海外で名前を売って、自分でチャンスを作るしかない」。勝負年の初戦で、未来をこじ開ける勝利をつかむつもりだ。