<K-1

 WORLD

 MAX2009>◇21日◇エキシビションマッチ◇マリンメッセ福岡◇7130人

 年内での引退を表明した魔裟斗(30=シルバーウルフ)が「魔裟斗2世」といわれる17歳のHIROYA(フリー)と3分間のエキシビションマッチを行った。HIROYAに急きょヘッドギアをつけさせて本気で攻めさせ、K-1を背負う存在になれというメッセージを「拳」で伝えた。

 202日ぶりにリングに上がった魔裟斗の拳は冗舌だった。時折笑顔を見せながらHIROYAの攻撃をかわす。2分すぎにはボディーに、終了間際には顔面にパンチを食らわせた。終了と同時に抱き合うと「頑張れ。オレもあと2回頑張るし」とエールを送った。

 何かを感じてほしかった。昨年10月1日の世界一決定トーナメント決勝では、控室前にいたHIROYAに「(優勝を)取ってくるから」と告げ、MAX世界王者となった。K-1を引っ張る男の責任を言葉と態度で伝えた。そして今回。前日記者会見後にヘッドギアをつけさせた。「危ないから絶対しろ」。階級が違うだけに、軽い選手はヘッドギアなしだと頭部に大きな衝撃を受ける。「オレも経験しているからね」。HIROYAから恐怖心を取り除き、思い切って攻めさせ、全身で受け止めた。

 魔裟斗2世でなく、オレを超える存在になれ。3分間を通じて、拳で、足で、メッセージを発信し続けた。HIROYAが言う。「ずっと魔裟斗さんって言っているのは子どものまま。これからは自分を出していって、1番になるまで努力していかないとだめ」。魔裟斗の思いは確かに伝わっていた。

 HIROYAの成長を感じ取った魔裟斗は「17歳とは思えないね」と目を細めた。残すは7月13日と12月31日の「Dynamite!!」での計2試合。「伝えるよりも、どう戦うかの方が強いね」。熱い思いの「伝承式」は終わった。魔裟斗の視界にはもう、フィナーレに向かう道しかない。【浜本卓也】