<K-1:WORLD

 MAX>◇26日◇横浜アリーナ◇MAX世界一決定トーナメント準決勝、決勝ほか◇1万1231人

 年内での現役引退を表明している魔裟斗(30=シルバーウルフ)が、大みそかの「Dynamite!!」(さいたまスーパーアリーナ)での現役最後の相手にジョルジオ・ペトロシアン(23=イタリア)を指名した。MAX世界トーナメント決勝で、ペトロシアンが3度目の優勝を狙ったアンディ・サワー(26=オランダ)を3-0の判定で破って初優勝。魔裟斗はリングに登場して「大みそか、あいている?」と対戦を要求。新王者が受け入れて両雄の大みそか決戦が内定した。

 23歳イタリア人の新鋭ペトロシアンの勇姿に、リング下の魔裟斗の心が大きく動いた。新星誕生をテレビの実況席で見届けた魔裟斗は、解説を務めた谷川EPから「一拍、あけようか?」と聞かれ、「いや。ものすごいやっかいで大変だけど、あいつでいい」と即答。「大みそか、あいてんのかな」とつぶやくと、そのままリングに上がった。

 マイクをつかむと、ペトロシアンに「大みそか、あいてるかな?」と対戦要求した。「あいてます。大みそかにリング上で会いましょう」という返事を聞いて「決まりでしょ、ペトロシアンで」と満足そうに笑った。

 大会前、魔裟斗は7月川尻戦でTKO勝ちした後から、過去2戦2敗のサワーとの対戦を想定して練習を続けてきたと明かした。「サワーに優勝してもらって、借りを返したい」と、闘志を高めてリングサイドの実況席に座った。だが、準決勝で山本を129秒で一蹴し、決勝ではサワーを圧倒したペトロシアンの戦いを見て感じるものがあった。リベンジよりも、現在の最強王者と対戦して引退したい-。かつて「強い相手が最高の状態の時に戦いたい。その方が格好いいでしょ」と話していた通り、魔裟斗らしさを貫いた。谷川EPは「男はこうでなくっちゃ」と興奮気味。魔裟斗らしい“サプライズ”に場内は大いに沸いた。

 7月のK-1デビューから無傷の4連勝で世界一となったペトロシアンは、ムエタイをバックボーンとする強烈な打撃が武器。16歳でプロデビューし、相手の持ち味を消して静かに眠らせるように仕留めるとの理由からついた愛称が「ザ・ドクター」。「バチバチの試合をして終わりたい」と望んでいた魔裟斗にとっては危険な相手だ。魔裟斗は、そんな強敵を破って「最強」のままでリングを去ろうと覚悟を決めた。【浜本卓也】