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 Versus>◇1日(日本時間2日)◇米サンディエゴ・スポーツアリーナ

 旧PRIDEライト級王者の五味隆典(31)が鮮やかなKO劇でUFC初白星を飾った。ライト級の強豪タイソン・グリフィン(26=米国)と激突。ジャブで様子をみながら、敵の右ローを受けたと同時に強烈な右フックをあごにヒットさせ、ダウンを奪った。そのままパウンドに入ったが、レフェリーストップで1分4秒、TKO勝利を挙げた。日本人格闘家が苦戦を強いられる米国マットでKO勝ちの快挙を成し遂げた。またミドル級戦線で活躍する岡見勇信(29)も難敵マーク・ムニョス(32=米国)を判定で下した。

 火の玉ボーイが米国で旧PRIDE王者の意地をみせた。金髪に染めた五味はPRIDEで使用していた入場曲「SCARY」で堂々と花道に登場。興奮を抑えるようなオーラを発しながら試合開始と同時に打撃にこだわった。前に出たグリフィンの右ローを受けた瞬間、返すように強烈な右フック一閃(いっせん)-。前のめりで倒れる敵にパウンドを仕掛けるとレフェリーストップ。TKO勝利の歓喜を爆発させるように金網によじ登り、ガッツポーズを繰り返した。五味は会場の熱気に浸りながら宣言した。「今日がオレのUFCスタートです」。

 今年1月にUFCと契約したが、同3月の初陣、フローリアン戦で3回1本負けを喫した。「この前は日本との違いで戸惑った」と振り返る。PRIDE時代、打撃の強さでKO劇をみせてきた五味は課題の寝技ではなく、原点回帰で改めてボクシングなど打撃を磨いた。当初の相手だったスティーブンソンが試合1カ月前に負傷欠場。さらに強いグリフィンに変更となったが「相手が彼だから1カ月、一生懸命練習できた」と笑顔をみせた。

 衝撃KOにザ・ノック・オブ・ザ・ナイトも受賞した。4万ドル(約360万円)のボーナスもゲット。UFC参戦に合わせ、新車を購入していたこともあり「車のローンを支払い、ビールを飲みに行きたい」と笑顔。日本人が米国マットで苦戦を強いられてきたが、五味が日本の「プライド」を死守してみせた。(デーブ・レイブル通信員)