WBA世界バンタム級王座統一戦(4日、大阪・ボディメーカーコロシアム)の前日計量が3日、大阪市内で行われた。53・5キロのリミットで1回でパスした王者亀田興毅(26=亀田)に対し、暫定王者ウーゴ・ルイス(26=メキシコ)は、200グラムオーバー。急きょ会場近くの公園をランニングし、3度目の計量でパスというドタバタを演じた。減量に関しては、王者亀田に軍配が上がった。

 前日2日の調印式から2人の表情が一変した。大阪・阿倍野のキューズモールで行われた公開計量。王者興毅は、集まった大阪のファンを前に満面の笑みで、軽々と一発で計量をパス。一方、前日に余裕の表情を見せていたルイスは、ほおがこけ、目の周りがくぼんで、前日の面影はまったくない。はかりに乗ると、200グラムオーバー。さらにパンツを脱いで再びチャレンジしたが、150グラムオーバーで2時間以内の再計量となった。

 メキシコで試合をしたことのある亀田は、この展開も読んでいた。事前にJBCが発表したこの日の体温で、ルイスは37度4分。脈拍も予備検診の36から65に跳ね上がっていた。明らかに、前日から一気に3キロ以上の減量を行った証拠だった。「オーバーしてくると思ったよ。メキシコ人はたいがいそう。200ぐらいはすぐ落とせるよ」と言う興毅の言葉通りに、ルイスは、約1時間後の再計量で何とかクリアのドタバタ劇を演じた。

 ボクサーならほとんどが苦しむ減量だが、亀田は「今までで一番楽だった」と振り返る。先週の前半から開始し、気温40度を超す室内で体を絞った。減量中は水分を体から出していくため、便もあまり出ない。亀田も過去に最長16日間、便が出なかった経験を持つ。それが、今回は「7日間で4回出た」と言う。

 プロ9年の積み重ねで「体の使い方が分かった」というように、体をコントロールするすべが身についた。計量の順調さを物語るように前日には、パンにヨーグルト、納豆巻きを口にした。練習や減量の励みにしてきた生後3カ月の長男も、この日美香夫人とともに大阪入り。「とりあえずカッコいいとこ見せんとな」と亀田。計量後は、おもゆに豚シャブ、ホットケーキを食べ、5度目の防衛へ戦闘態勢を整えた。【桝田朗】

 ◆主なルール

 採点は10点法でスリーノックダウン制。4回までに偶然のバッティングなどで続行不可能な場合は引き分け。5回以降は採点。バッティングで負傷した場合、故意なら負傷のない選手から2点減点。レフェリーはグスタボ・パディージャ(パナマ)、ジャッジはスタンリー・クリストドーロー(南アフリカ)、マイケル・リー(韓国)、ラーセン・オウムガー(オランダ)。