<プロボクシング:WBA世界スーパーフライ級王座決定戦12回戦>◇26日◇東京・後楽園ホール

 元WBA世界スーパーフライ級王者で同級2位の河野公平(33=ワタナベ)が、324日ぶりの王座返り咲きを果たした。暫定王者で同級1位のデンカオセーン・カオウィチット(37=タイ)と正規王座を争い、4回に切れ味鋭い右カウンター「一撃」でダウンを奪うと、8回に右ストレートでダウンを奪って同回50秒、KO勝ちした。昨年5月、当時の暫定王者リボリオ・ソリス(ベネズエラ)に微妙な判定で敗れて以来の王座奪回で、新しいベルトを巻いて涙ぐんだ。

 8回開始から河野が詰め寄った。右、左、そして最後に敵のアゴを貫く右ストレート。「感触があった」という1発でキャンバスに沈めた。立ち上がれない敵に10カウントが下ると両手を挙げた。リングに上がった両親を前に「自分は鈍くて、覚えるまで時間がかかる。付き合ってくれた家族に感謝したい」と声を詰まらせ、涙ぐんだ。

 必殺パンチで主導権を握った。4回、“一撃”と命名した右カウンターでダウンを奪った。高橋トレーナーは「倒すために『まだまだ』抑えさせた。相手が疲れる後半勝負」と8回にゴーサイン。すべて作戦通りのKO勝ちだった。前日計量後、サンドバッグをつるした自宅のリビングジムで右拳を最終確認した河野は「踏み込んで打ったら威力があった。覚悟を決めていけた」と無邪気に笑った。

 昨年5月、ソリスに微妙な判定で敗れた。王座陥落後に悔しさが募り「毎日、1人で泣いた」。所属ジムがソリスとの再戦実現に動いたことで現役を続けた。しかし昨年12月に当時のIBF同級王者・亀田大毅との統一戦が決まり、再び落ち込んだ。

 その団体統一戦は、計量ミスで王座剥奪されたソリスが大毅に勝利し、WBA王座は空位に。河野は同級2位だったが、今度はWBA世界バンタム級王者・亀田興毅がスーパーフライ級に転向。王座決定戦を奪われる不安がよぎり「焦った。毎日、気持ちが浮き沈みした」。WBAから王座決定戦の指令を受け「ほっとした。何が何でも王座を」という元王者の意地と執念が、すべてを打ち砕いた。

 同級4位の興毅が視察に訪れたが、河野は「その件はあまりしゃべらない方がいい」とはぐらかした後、「この新ベルトはたまらないっすね」と大事そうに腰に巻いた。【藤中栄二】

 ◆河野公平(こうの・こうへい)1980年(昭55)11月23日、東京・目黒区生まれ。中学時代、陸上の目黒区大会の3000メートル走で入賞。東亜学園高(東京)では陸上部に所属し、長距離走を経験。同校卒業後に入門書「6カ月でプロボクサーになる」を読んでボクシングに興味を持ち、18歳でワタナベジムの門をたたく。00年11月のデビュー戦は4回判定負け。その後、日本スーパーフライ級王座、東洋太平洋同級王座(2度)を獲得。12年大みそかに3度目の世界挑戦でWBA世界同級王座を獲得。愛称はタフボーイ。右ファイター。166・7センチ。血液型A。独身。