衝撃のKOで2階級制覇を達成したWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(21=大橋)が12月31日、横浜市内のジムで一夜明け会見を行った。午前中には勝利した前王者オマール・ナルバエス(39=アルゼンチン)の宿泊するホテルに、父真吾トレーナー、大橋秀行会長とともに訪問。「あなたは歴史的な王者になると思う。これからも頑張ってほしい」と激励を受けた。

 6分間に4度のダウンを奪い完勝劇を演じた井上は「名のある王者に勝てたことで、世界に自分の名前を売れたかなと思う。狙われる立場になったが、どんな挑戦者でも返り討ちにするだけ」と力を込めた。夜には同じ階級のWBA王者河野の試合を視察に訪れるなど、早くも先を見据えた。

 称賛の声も鳴りやまなかった。アマ時代から交流があり、同じ興行でプロ6連勝を飾った村田諒太(28=帝拳)は「単純にすごかった。技術は今の日本ボクシング界の中でトップ。タイミングやキレなど、見習うべきところもたくさんある。スーパーフライ級のパワーはとんでもないものだった」と絶賛。試合前にナルバエス対策を伝授した元世界5階級制覇王者ドネア(フィリピン)も「素晴らしい仕事だった。無限の可能性がある」と勝利をたたえた。

 大橋会長は次戦を「4月か5月」と明言。対戦への期待が膨らむ3階級制覇王者ローマン・ゴンサレス戦については「年末にやりたいね。この試合でどちらが勝つか分からなくなったのではないか」とニヤリ。WBA、WBOスーパーバンタム級統一王者リゴンドー戦や、将来的に5階級制覇を目指すプランなども披露した。【奥山将志】