東前頭7枚目の豊ノ島(32=時津風)と西前頭6枚目の隠岐の海(30=八角)の一番の判定をめぐって、審判長を務めた井筒審判部副部長(元関脇逆鉾)が見解を示した。

 取組では豊ノ島が土俵際に追い込み、隠岐の海が俵を伝いながら逆転の下手投げを決めたように見えた。だが軍配は豊ノ島。微妙な判定ながら、5人の審判の誰からも物言いがつかなかったことについて、こう話した。

 「際どいんですけど、豊ノ島が攻めていたので分があると思った。流れ的には豊ノ島が有利ですから。隠岐の海は勝ったと思って、勝ち名乗りを受けようとしていたかもしれないけど、本人は相撲を取ってるから分からないでしょう。テレビで見るのと、ライブで見るのとは違う。やっぱり、攻めているほうが有利に見えるんですよ」。

 取組全体を通して攻勢だった豊ノ島の流れを重視し、親方衆の判定も一致していたことを強調した。

 微妙な判定に場内もざわつき、テレビ中継では何度もスロー映像が流された。解説した元小結の舞の海氏は「最低、取り直しでも良かった」と指摘しつつ「これで遺恨を残さずに終えていくのが、大相撲のいいところでもある。何か、世の中をグーッと凝縮したのが、土俵の中という感じがしますね」と話していた。