稀勢の里が難敵を退け、全勝を守った。2連敗中だった嘉風を立ち合いから強烈な左おっつけで押し込む。左を差し、上手を取ると、腰をグッと落として盤石の寄り切り。拙攻で肩透かしを食らった過去2戦を踏まえ圧倒、13連勝した13年夏場所以来2度目の初日から5連勝。「非常に感覚は良い。思い切っていきました。1日1日、集中してやることが大事」と振り返った。

 「最も優勝に近い日本出身力士」と言われてきたが、初場所は9勝で琴奨菊の初優勝を許した。「調整のやり方が間違っていたのかもしれない」。最近は場所中の朝稽古で土俵に入ることはほとんどなかったが、今場所は毎日土俵に入って感触を確かめ、好調を維持している。「まだこれから、どんどん良くなっていくと思う。自分を信じてやるだけ」。ひと味違う稀勢の里が、浪速の春を引っ張る。