指原莉乃(19)が5日、福岡市内のHKT48劇場で、HKT48デビューを果たした。男性との過去の交際疑惑のスキャンダル発覚直後の先月16日に、秋元康総合プロデューサー(56)に、AKB48からの移籍を言い渡されてから19日で公演曲を覚えきり、この日、再出発した。また早速、地元テレビ局のレギュラー番組が2本も決定。博多に旋風を巻き起こしつつある。

 ラスト曲「遠くにいても」を歌う指原が、涙をぐっとこらえた。「AKBに未練が全くないとは言えないけれど、この歌を歌っているときに、それ以上にHKTのことを好きになろうって思えました。だから、泣かなかった」。“遠くにいても

 空は続いてる”という歌詞で、約1060キロ離れた東京・秋葉原との決別に踏ん切りがついた。

 イエローカードをもらっての移籍。HKT48ファンからの反発も心配だったが「ぜひ皆さんの元気でもっともっと私を盛り上げてください」とお願いすると、大声援で歓迎してくれた。多忙な中、徹夜でフリを覚えたかいがあった。「舞台に立つとメンバーもファンも目を合わせてくれた」。胸いっぱいになれた。

 平均年齢14・4歳の幼いメンバーに交じって、キュートさ満載の制服に身を包んだ。アダルトな演目だった前所属AKB48チームAの「目撃者公演」とは正反対のブリッコで初々しい振り付けを、タンバリンをたたきながら必死に踊った。客席の隅から隅までに視線を送り、ファンと積極的に交流した。立ち位置は曲ごとに変更し、端からセンターまですべてをこなした。

 秋元氏からは、どん底からの再出発を期待されている。「これまでも、歌も踊りもうまくなくて失敗ばかりの子でも、一生懸命やり続ければ、チャンスが回ってくることを証明してくれた。これからも、指原は、日本の元気の源、象徴になってもらいたい。大きくつまずいても、頑張って出直せば、またチャンスがあるというね」。

 人気タレントの風格がついた指原には、新人グループHKT48の衣装やフリが似合うはずもない。それでも、不格好なままで、若手に負けまいと必死に汗を飛び散らせる姿こそが、指原が見せていくべき生きざまだ。「HKT48のメンバーとして一刻も早く認めてもらえるように一生懸命に頑張ります。最年長なので、お局キャラでいきたいと思います」と謙虚に誓った。涙をこらえて、弱音ばかりの“ヘタレさっしー”と決別した夜となったのか。これからの道が、その答えを出す。【瀬津真也】

 ◆指原莉乃(さしはら・りの)1992年(平4)11月21日、大分県生まれ。愛称「さしこ」「さっしー」。07年加入、AKB48の5期生。08年チームB昇格、10年にAへ。選抜総選挙順位は第1回から27→19→9→4位。昨年1月にAKB48メンバー初のソロ冠番組「さしこのくせに」が放送開始。今年5月に「それでも好きだよ」でCDソロデビュー。血液型O。

 ◆HKT48

 福岡市を拠点とするAKB48の3つ目の姉妹グループ。名前の由来は博多(HAKATA)から。昨年10月に1期生21人がお披露目され、同11月にホークスタウンモール内のHKT48劇場で公演を開始。劇場収容人数は48グループ最多の300人。現在はチームH16人と研究生5人に指原を加えた計22人。平均年齢14・6歳は48グループで最も若い。