東京芸大大学院の映像研究学科が、伊坂幸太郎氏の小説を原作にした映画「ラッシュライフ」で、初めて映画配給を行うことが2日、分かった。同作は企画、製作、配給まですべて学生によって進められた作品で、6月に東京・新宿バルト9で公開される。

 同学科は05年4月に開講され、映画専攻は定員32人の少数精鋭。今までも学生らは多くの作品を作り、若手監督作品に理解ある単館系劇場の協力で劇場公開もされた。今回は、原作の伊坂氏に映像化許可をもらうところから始まり、配給まで交渉に当たることになった。4つのエピソードを合わせたオムニバス作品で、学生4人が監督した。出資会社を募り、堺雅人、寺島しのぶら、実力派キャストもそろった。

 公開にあたり、より多くの観客が見られるシネコンでの上映を目指し、バルト9に企画書を提出しプレゼン。製作領域3年生の五十嵐真志さん(35)は「小さな規模ではなく、多くの観客に見てほしかった」と話す。現在は、同劇場だけでの公開だが、全国にシネコンを持つT・ジョイが展開しているので、話題になれば他地域に広がる可能性も高い。

 同学科での映画製作は営利目的ではなく、カリキュラムの一環でもあるので、興収は、出資社やほぼノーギャラで承諾してくれた出演者に還元するという。

 同作にはほか、柄本佑らが出演する。教授を務める黒沢清監督が脚本指導を行い、同じく教授を務める北野武監督も作品を見たという。