お笑いコンビ、とんねるず石橋貴明(47)の長女で新人女優穂のか(19)が日加合作映画「アンを探して」(宮平貴子監督、今秋公開)で映画初主演していることが14日、分かった。デビュー作のハリウッド映画「はりまや橋」(6月公開)に続く2作目で受けた抜てきに「120%の力を出し切った」と、納得の笑みを浮かべた。

 原作は半世紀以上も読み継がれている名作「赤毛のアン」。主人公杏里(あんり)は、亡き祖母が初恋相手に書いた手紙を胸に「赤毛のアン」の舞台であるカナダのプリンスエドワード島に単身飛んだ。届かなかった思いを伝えようと、島内を懸命に訪ね歩く杏里の成長と島の住人たちとの人間愛を描いた作品だ。

 「役づくりのためにも1人で行きます」。穂のかはクランクイン2日前、単身で日本を離れた。ニューヨークで飛行機を乗り換えてカナダ入りするはずが、乗り換えに失敗。泣きながら米国に宿泊し、島に着いたのは撮影開始の前日夕方。翌朝3時からカメラは回った。「このハプニングで成長できました」と、人生最大のピンチも“こやし”にするたくましさだ。ジョン・ウェインとも共演した大物俳優ダニエル・ピロン(68)は、穂のかの演技を間近で見て驚いた。「彼女は本当に素晴らしい役者だ。間違いなく大物になる」と、気むずかしいことで知られる名優の絶賛を受けた。

 父には撮影が終了するまで報告しなかった。15歳の時に芸能界入りを相談した際、「めちゃくちゃ反対されたから」だ。「言って反対されたら悲しいし、迷いみたいなものが出ちゃうから黙っていた。でも私は反対されてもやっていた。自分のやりたいことは曲げられないから」。

 芸能事務所に所属したのもつい最近だ。「映画宣伝などの窓口や連絡先がしっかりしていないと困る」と関係者に指摘されたからだった。穂のかが石橋の長女だと後から知らされた人たちは、一様に「えーっ」と驚きの声を上げたという。芸能界や政界など、至る所で「親の七光」がはびこる昨今。親の光をあてにせず、自ら輝く19歳の原石が飛び出した。