俳優村上弘明(53)が、11年公開の映画「大地の詩(うた)」(山田火砂子監督)で主演することが1日、分かった。明治、大正時代に家庭学校を造り、不良少年を家庭の温かさで更生させた留岡幸助の物語。留岡役の村上は「まだ差別が残っている時代に『すべて平等の中で大事に触れ合っていかなきゃいけない』という精神を一生突き抜かれた。貫き通したことはすごい。ドラマチックな人生です」と感心した様子だった。

 留岡がキリスト教を学び、教育活動の原点にしたことから、聖書を読んで役作りをしている。「まだ旧約聖書の後半ですが、面白い。深みにはまっていきますね。留岡さんになりきって、命をささげるぐらいの気持ちで取り組みたい」。近年はテレビドラマの出演が多く、映画主演は05年「渋谷物語」以来になる。「テレビドラマと気持ちの持っていき方は一緒ですが、映画は準備期間が長い。9月のクランクインまでに監督と何度も打ち合わせをして、留岡さんの精神に近づきたい」と意欲をみせた。

 山田監督は村上を起用した理由について「『不良少年の父』と呼ばれて、人のために生涯をささげた人の役なので、村上さんの優しい感じがほしかった」と説明した。留岡が北海道で設立した家庭学校が舞台になるため、9~10月の撮影期間の大半は北海道ロケになる。昨年6月の所属事務所移籍以来、初の映画出演になるが、「代表作にするとか、そういう野心を持ってはいけないと聖書に書いてありました」と笑顔。役作りは順調のようだ。