「スター・ウォーズ」の生みの親であるジョージ・ルーカス監督が1971年に設立した製作会社ルーカスフィルムは、カリフォルニア州サンフランシスコにスタジオを構えています。もともとは、サンフランシスコから北に車で45分程度の距離にあるマリン郡にあるスカイウォーカー・ランチにありましたが、2005年に映画のサウンドをメインに製作する「スカイウォーカー・サウンド」を除いたほとんどの部門をサンフランシスコ市内の公園「プレシディオ」にあるレターマン・デジタル・アーツセンターに移転。現在ここには、ルーカスフィルム本社の他、「スター・ウォーズ」の特殊効果を手掛けるために73年に設立された視覚効果の映像工房インダストリアル・ライト&マジック(ILM)なども入っています。ルーカスフィルムは2012年にウォルト・ディズニー社に買収されましたが、今でもここはスター・ウォーズ愛に満ちたまるでルーカス博物館のようなスタジオです。

 広大な土地を要する自然豊かな美しい山の中に佇むスカイウォーカー・ランチには、ワイン畑や自前の消防署、関係者向け宿泊施設までありますが、入口に看板はなく、住所も非公開なのでどこにあるのか一般の人には知られていません。一方のレターマン・デジタル・アーツセンターは、ゴールデン・ゲートブリッジの麓にある公園内にあり、ファンの人たちでも建物を外から自由に見学することができます。実はここも、スカイウォーカー・ランチと同様に看板は一切ないので初めて訪れる人はルーカスフィルムだとは分かり難いですが、建物の入り口前まで来るとヨーダの銅像が重々しく祭られた噴水が出迎えてくれるので、そこが入り口であることが分かります。

 もともと病院だったという建物は、全部で4棟あり、ゲーム会社ルーカス・アーツやルーカスフィルム・アニメーションなども入っています。ルーカスフィルム内部はもちろん一般の人は立ち入ることはできませんが、実はロビーエリアは一般開放されており、ファンも訪れることができます。ロビーにはダース・ベイダーやボバ・フェットの等身大のフィギュアがある他、随所にスター・ウォーズのキャラクターたちが鎮座しています。ロビーから先は一般の人は入れませんが、スター・ウォーズのファンなら入口とロビーだけでもサンフランシスコを訪れた際には立ちよってみる価値充分です。

 スタジオ内はまるでルーカス博物館そのもの。実物大のストームトルーパーやR2-D2、C-3POなどのキャラクターがあちらこちらに飾られている他、撮影に使用されたヨーダやカーボナイト冷凍されたハン・ソロのレプリカなどお宝もいっぱい。また壁にはR2-D2の初期のデザインが描かれたスケッチ画や全シリーズのポスター、乗り物の模型や様々な小道具が展示されています。「スター・ウォーズ」作品以外にも、「E.T.」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどILMが手掛けた数々の作品に登場するキャラクターたちもいます。社員向けコーヒーショップの名前は、ジャバ・ザ・ハット。スター・ウォーズグッズで溢れる社員専用ショップもあります。どこまでもスター・ウォーズ愛に満ちた夢のような場所で、「スター・ウォーズ」は作られているのです。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

建物の入り口まで来るとヨーダの銅像が重々しく祭られた噴水が出迎えてくれる
建物の入り口まで来るとヨーダの銅像が重々しく祭られた噴水が出迎えてくれる