ファン投票による映画賞「MTVムービー・アワード」が、25周年を迎えた今年からテレビドラマも賞の対象となり、MTVムービー&テレビ・アワードとして新たなスタートを切りました。さらに今年からは、男優と女優のカテゴリーを廃止した俳優部門賞などが新たに新設され、7日にロサンゼルスで授賞式が行われました。

 MTVムービー・アワードは他の映画賞とは違い一般の映画ファンの投票で各賞が決まるため、インディペンデントやアート系作品よりも話題のブロックバスターや大ヒット作が受賞することが多いのが特徴。また「ベスト・キス賞」や「ベスト・ヒーロー賞」「ベスト悪役賞」など他の映画賞にはないユニークなカテゴリーがあることでも知られ、今年からはさらに「お涙ちょうだい賞」や「ベスト・ホスト賞」なども新設され、授賞式も大いに盛り上がりました。

 オープニングを飾ったのは、公開中のディズニー映画「美女と野獣」のパロディ。司会を務めた映画「ピッチ・パーフェクト」(2012年)などで知られる俳優アダム・ディヴァインが野獣に扮し、歌手で女優のヘンリー・スタインフェルドがエマ・ワトソン演じるベル役となり、ステージでぴったり息の合った歌や踊りを披露。客席から鑑賞していたワトソンも完成度の高いパフォーマンスに笑顔で拍手を送っていました。その「美女と野獣」は、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」を抑えて最優秀作品賞を受賞。また、今年から男女のカテゴリーを廃止した最優秀俳優賞の映画部門に輝いたのは、ベルを演じたワトソンでした。フェミニストとして女性の権利などを訴える活動をするワトソンは、演技力に男女は関係ないとスピーチ。「演技とは自分自身を他人の立場に置くことであり、(男優と女優という)2つのカテゴリーに分ける必要はない」と語り、会場から大きな拍手が沸き起こりました。

 一方、今年から始まったテレビドラマ部門の作品賞は、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」が受賞し、テレビ部門最優秀俳優賞には同作のミリー・ボビー・ブラウンが選ばれました。また、毎回盛り上がる最優秀キス賞に輝いたのは、今年のアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」のアシュトン・サンダースとジャレル・ジェロームで、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンとライアン・ゴズリングを抑えての受賞となりました。ツイッターをはじめSNSでも大いに盛り上がっていた今年のアワードは、「美女と野獣」が2冠に輝く注目度の高さで幕を下ろしました。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)