発声と滑舌は、すぐには良くならないので、デビュー前後のアーティストやアイドルの子たちにトークレッスンするときは、少しずつ少しずつ上達するよう教えています。滑舌は、「悪い」ことが個性になる場合もあります。例えばお笑いコンビ「三四郎」の小宮さんがそうですね。無理に矯正するのではなく、大きく口を開けて発声練習することで、顔の筋肉が鍛えられますので、私はここに重きを置いています。

トーク編⑩「滑舌レッスン」

 【前回までのあらすじ】 トークレッスンの項目を(1)発声、(2)滑舌、(3)話の内容、(4)メンタル、(5)コミュニケーションと分け、これまでは(3)話の内容について、ちょっとした工夫をご紹介してきました。

テレビ朝日の配信番組収録の前に打ち合わせ中の五戸です(2016年7月)
テレビ朝日の配信番組収録の前に打ち合わせ中の五戸です(2016年7月)

「悪い」と悩むことなかれ

 「滑舌」という言葉は、もとは放送業界の専門用語でしたが、今では一般的な単語になりましたね。発音や発声がハッキリしていることを指すと同時に、ハッキリするように練習することも「滑舌」といいます。

 この「滑舌」という言葉が広まったことも一因だと思うのですが、「滑舌が悪い」と悩んでいる子が、私の生徒たちにもたくさんいます。

トレーニングで必ずよくなる

 アナウンサーみたいにハッキリしゃべる必要はないので、さほど悩むことではないとは思いますが、スポーツと一緒で、練習すれば必ずうまくなりますので、心配はいりません。なにを隠そう、私もすごく悪かったですから! サ行がうまく言えなくて何度悔しい思いをしたことか…!(当時のリスナーの皆さん、お聞き苦しくて申し訳ありませんでした…)

さぁ「顔筋」鍛えましょう

 滑舌レッスンでまず行うのが、「顔筋(がんきん)トレ」です。

 顔にはたくさんの筋肉があります。よく「表情筋(ひょうじょうきん)」と言いますね。「顔筋」とも言います。顔筋の筋トレなので、「顔筋トレ」。顔筋は、顔じゅうにあり、小さい筋肉がたくさんつながっています。でもやっかいなのが、意識して動かさないと、動かさないままになる部分があるんです。

 動かさないままだと動きづらくなって、滑舌はますます悪くなりますし、筋肉が固まって表情がこわばったり、顔のたるみの原因になる、とも言われています。逆にスムーズに動けば、滑舌はもちろん、声自体もよくなります。

日本コロムビアのアイドルグループ「ClefLeaf(クレフリーフ)」と研修生「seeDream(シードリーム)」とトークレッスン後に記念撮影。ClefLeafは3月8日メジャーデビューです!(2016年12月、日本コロムビア会議室で。左端が五戸でございます)
日本コロムビアのアイドルグループ「ClefLeaf(クレフリーフ)」と研修生「seeDream(シードリーム)」とトークレッスン後に記念撮影。ClefLeafは3月8日メジャーデビューです!(2016年12月、日本コロムビア会議室で。左端が五戸でございます)

だまされたと思ってやってみて

 顔筋トレの方法は、口をこれでもかというほど大きく開けながら、声を出します。特に、「あかさたな」のア段のときに、縦方向に開けるのを意識してください。

 声に出す言葉はなんでも良いのですが、一番簡単なのは「あ・い・う・え・お」です。いい大人になって「あいうえお」を言うなんてバカバカしいかもしれませんが、だまされたと思ってやってみてください。1文字ずつ、ゆっくり大きな口を開けて、サ行からワ行まで、余裕があれば濁音である、ガ行・ザ行・ダ行・バ行、そしてパ行まで続けて行うのがオススメです。

 どうです? 顔の筋肉が疲れてくる感じがしませんか? これぞ顔筋トレです!(次回はトーク編⑪「滑舌レッスンの応用」です)

本日のごのへの・ご・ろ・く

口をタテに大きく開けて~!(ラジオ体操風に)