「池田泉州銀行」のイメージガールを務めている宙組の娘役、伶美うららは、トップ朝夏まなとと同じく今公演で退団する。

 「セリフの中に込められる思い、その裏の表現を大切に、演じたいですね」

 宙組では4月に前トップ娘役・実咲凜音(みさき・りおん)が退団後、トップ娘役は不在。今回、星風とWヒロインを演じ、有終を飾る。

 「年齢は28歳ですけど、大公妃としての役割、ドイツからロシアにきた立場、芯のある女性だと思う」

 年上のセルゲイ大公に嫁ぐ大公妃イリナ役。政略結婚で大公を亡くすが、ロシアの国を愛し、朝夏演じるロシア軍人・ドミトリーと「恋愛ではなく、秘められた関係」の絆で結ばれる設定だ。ドミトリーの婚約者を星風が演じる。

 「言葉や生活面で慣れない環境の中、身近にいたドミトリーが心のよりどころで、どうすれば国がよくなるかという…。私も今の宙組で、何ができるのかを考え、宝塚での9年間の思いをリンク付けていけば、深みが出るかなと思います」

 朝夏が2番手時代、14年の「翼ある人々」でも相手役ヒロインを務め、その演出が、今回と同じ上田久美子氏。同作が転機だった。

 「お芝居への考えの浅さを実感し、(演出の)上田先生、朝夏さんから、すごく学習させてもらった」

 入団3年目で新人公演ヒロインを演じて以来、バウ公演など、多くの作品でヒロインを経験してきた。

 「のんびりと言われますが、私個人としては、今やるべきことを端っこからかみ砕いて、計画的に、1歩ずつ進んできました」

 15年「王家に捧ぐ歌」では、初演時に檀れいが演じた絶世の美女・アムネリス役など、難役も経験した。

 「上田先生で大劇場作品、そして朝夏さんの相手役。(転機作品と)同じ環境で、この作品に(宝塚生活の)すべてを懸けようと思った瞬間でした」

 今作と配役が発表され、退団を決意した。「ここまで、この役で退団しようかというのは、ほんとになかった」と語り、今公演に全力を注ぐ。【村上久美子】

 ◆伶美うらら(れいみ・うらら)5月30日、大阪市生まれ。09年入団。11年「クラシコ・イタリアーノ」で新人公演初ヒロイン。12年「ロバート・キャパ」では、前トップ凰稀かなめの相手役に抜てきされ、バウ初ヒロイン。同年7月から「池田泉州銀行イメージガール」就任。以後も新人公演、バウ、外部劇場などヒロイン多数。身長164・5センチ。愛称「ゆうり」。