Netflixドラマ「忍びの家 House of Ninjas」が面白い。現代の日本を舞台に“最後の忍び一家”が活躍する。豪華日本人キャストが並ぶ中、演出を務めるのはアメリカのデイヴ・ボイル監督。スタイリッシュな映像に実戦的なアクション、そして独特なテイストの音楽がかかる。日本のドラマでは見かけない雰囲気に、ついつい夢中になって観てしまう。

ちなみに本作もだが、よく映画のクオリティーといった表現になるが、どちらかというと視聴環境に合わせた映像だと個人的には思っている。ゴールデンタイムにCMありきの中、映画的な画作りだと支持されないだろうと感じる。そういった意味では配信サービスやWOWOWなどの作品は映画同様、集中して視聴してもらえるようユーザーを育てたのだといえる。

また、配信サービスの普及により、作品が国内だけでなく世界へと広がっていく。以前に取り上げた「サンクチュアリ -聖域-」では相撲、今回は忍者とわかりやすく、日本発のコンテンツで挑戦していることがわかる。また今回は外国人が監督なこともあり、日本の俳優陣にとってはこれまであまりなかった刺激を受けるチャンスになるのではないかと想像する。

そこで今回紹介したいのは主演を務める賀来賢人(34)。若い頃からコンスタントにドラマや映画に出演するが主演作品は意外と少ない。そこで、福田雄一監督と出会いコメディー俳優として開花した後、ドラマ「今日から俺は!!」のヒットで主演俳優としてブレイク。世間には、2枚目も3枚目もできる実力派として認識されているのではないだろうか。

さらに本作では原案を務めるとともに、共同エグゼクティブプロデューサーとしてもクレジットされる。恒例のサッカーに例えると、国内で順調なキャリアを過ごす中、著名な監督との出会いによりプレースタイルに変化。そして日本代表に選出された後、海外にプレーの機会を求めに行った感じだろうか。

2年前に事務所を退所し独立するが、ただ海外に活躍の場を求めるのではなく、コンテンツを引っ提げて挑もうとしているところに相当な気概を感じる。俳優としてもだが、プロデューサーとしての賀来賢人にも今後注目したい。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。直近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」が公開。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)