7年連続全米ドラマ視聴率1位を独走中の「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」が14年目に突入し、今月から最新シーズンの日本放送(FOX、火曜午後9時)が始まりました。海外ドラマファンには、わくわくする年の瀬です。

 米海軍に関する犯罪捜査モノで、理想の上司ギブスが率いるメンバーたちの活躍が描かれます。1作目から13年間、ファンの人気を一身に集めてきたイケメン捜査官トニー・ディノッゾが昨シーズンで卒業。頭脳、洞察力、ハートの良さなど、優秀さをチャラさで包んだかっこいいムードメーカーだっただけに大きな喪失感がありましたが、新メンバー2人が加入した新生NCISもいい見ごたえ。14年も続く人気シリーズの底力を感じます。

 主人公ギブスは、厳しくて頼りがいがあり、この人の下で徹底的に何かを学びたいと思わせる理想の上司。新加入したトーレス捜査官への接し方もすてきでした。長年の潜入捜査で人生めちゃくちゃだとヤケになる彼に「この2年に意味を持たせたければ、正攻法で最後までやり抜け」とギロリ。おっかないけれど、確かにそうだよなあと納得できるタフなせりふが随所にあるのです。日本の刑事ドラマの管理職は、ゴマすり系、無能系、ずっこけ系、友達系など、タフとは無縁な描かれ方が多いので、オブラートに包まない言葉の力がガツンときます。

 怖くて厳しいだけでなく、時々見せる笑顔のギャップもセクシー。もう1人の新顔、ベテラン女性捜査官クインをチームに加える時も「決めろクイン、やるか?」と笑顔のかっこいいこと。従来のメンバーたちも、まだ職場にディノッゾの面影を探していたりして泣けてきますが、2人の新戦力のキャラクターで捜査のアプローチが変わったりして、進化するNCISを感じます。

 ちなみに、チームには捜査の指針となる40個以上の「ギブスルール」があり、新入りがその洗礼に面食らうのも歴代のお約束です。「容疑者同士は離しておけ」などの捜査のいろはから「終わった仕事に執着するな」「怪しいと感じたら利用されていると思え」などの人生訓っぽいものまでさまざま。さっそくルール17「ギブスの尋問のじゃまをするな」が出てきて笑えました。フレッシュな顔ぶれでダイナミックな事件捜査。期待がもてる新シーズンです。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)