子宮疾患のため活動休止中の歌手大黒摩季(45)が、民事再生手続き中の国内航空会社3位スカイマークの応援ソングを手掛けたことが2月28日、分かった。この日、東京・羽田の同社で行われた社員家族懇談会で発表された。約4年半ぶりに本格的なレコーディングも行い、パワフルな歌声を披露している。

 スカイマークの井手隆司代表取締役会長、社員、家族ら約200人らが見守る中、前方のスクリーンに大黒の姿が映し出された。

 「私は病気療養中ですが、少しずつ周りの方々のお力を借りながら、気持ちの余裕が出てきたので、復活、再生に向けて、頑張っていこうと、気持ちを持ち上げている最中でした。そんな中みなさんの姿が、どことなく自分とリンクしまして、微力ではありますが、私の声がお役に立てればと思いました。お互いにすばらしい再生を目指して頑張っていきましょう」

 その後、大黒の力強い歌声が、社員たちが働く様子やメッセージの映像とともに流された。家族たちは一斉に拍手した。

 関係者によると、応援ソング制作のきっかけは、同社が、大黒の楽曲「TAKE OFF」(10年8月リリースのアルバム「すっぴん」収録曲)の使用許可を取ろうとしたことだという。大黒は札幌出身。ブレーク前には、金銭面の負担から実家に帰れなかった時期もあり、北海道便も多いスカイマークには親近感があったという。また、実家でパン・菓子製造の札幌キムラヤが、02年に民事再生法を申請した経緯もある。10年10月から活動を休止しながら、復活を目指す自らの境遇とも重なり、大黒が「皆さんに寄り添った応援歌に変えましょう」と提案。約4年半ぶりのレコーディングが決まったという。

 タイトルは「TAKE OFF ~SKYMARK, Cheer Up← version~」。原曲からは歌詞を3割程度変更し、「青く光る Skymark」などのフレーズがある。映像を見て応援歌の存在を知った社員、家族は感激の面持ちで、井手会長も「この曲と映像で、頑張るという気持ちが皆さんにも伝われば」と期待を寄せている。

 関係者によると、同曲の商品化予定はないが、今後、YouTube投稿の可能性はあるという。

 ◆スカイマーク 96年11月、規制緩和による新規参入航空会社として設立。98年には羽田~福岡間で運航を開始した。「大手の半額運賃」を掲げ、路線拡大を積極的に進めたが、近年は格安航空会社との競合もあり、業績は低迷。14年7月、欧州旅客機大手エアバスから大型機「A380」6機を購入する契約の解除に伴い、7億ドル(約840億円)の違約金支払いを求められ、経営不安に。1月28日に民事再生法適用を申請。同社株は、東京証券取引所での上場廃止が決まっており、最終取引日の2月27日、終値14円で取引を終えた。負債総額約711億円。社員数は2229人。