歌舞伎俳優中村橋之助(49)が3日、東京・国立劇場で、先月亡くなった坂東三津五郎さんが亡くなる6日前に病室から電話をくれ、40分にわたって役についての細かな指導をしてくれたことを明かした。橋之助は「大きな大きな影響を与えてくれた。いつも後輩のことを思っていてくれた」と悼んだ。

 橋之助は4日に初日を迎える同劇場の歌舞伎公演の「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」で、三津五郎さんも演じたことがある主人公・新三に初挑戦する。三津五郎さんは橋之助に、新三を演じる心構えなどを話し、小道具の手ぬぐいも用意していてくれていたという。橋之助は「『橋、お前には感謝してるよ。ありがとう』と言われたのが最後になりました。三津五郎のお兄さんとは思い出どころじゃない。一緒に走ってきた。まだ実感がない」。

 この日、橋之助は同劇場で、麹町消防署の一日署長を務めた。