2010年に俳優引退を表明していた根津甚八(67)が、映画「GONINサーガ」(石井隆監督、9月26日公開)で1作限り“復帰”することが16日、分かった。体調を崩し、現在は車いす生活を送るが、95、96年に出演し、19年ぶりの続編となる同作で銀幕に帰ってくる。

 きっかけは、石井監督の熱意だった。「自ら自宅に来て、『どうしても手伝ってほしい』という殺し文句と『出来るか出来ないか、脚本を読んで決めてほしい』という熱心な説得で」。同作は、佐藤浩市、本木雅弘、ビートたけしらが出演し、バイオレンスアクション作として話題になった。根津は、汚職で警察を首になった元刑事の氷頭要役。続編には、鍵を握る5人の最後の1人で、出演シーンは、昨年6月に都内で撮影された。11年ぶりの映画出演。立てはしなかったが、床をはいずるシーンでは、監督の「よーい」の掛け声がかかると、みるみる19年前の氷頭の顔になり、その迫力にスタッフは涙し、主演の東出昌大(27)も圧倒されていたいう。

 根津は93年に撮影で落馬して腰椎(ようつい)損傷。01年から目の病気で手術を繰り返し、05年にはヘルニア手術の後遺症でつえを手放せなくなり、うつ病にもなった。復帰も同作限りで、完全引退作になることも示唆した。「支えがあってやりとげたことで、未練を捨てて終止符を打てたと思う」。同作には、前作に続き佐藤、鶴見辰吾(50)の出演も決まった。