ベテラン漫才コンビ、今いくよ・くるよの今いくよ(本名・里谷正子=さとや・まさこ)さんが亡くなったことについて、漫才コンビ、ザ・ぼんちがこの日、取材に応じた。

 2人は、いくよさんが最後に出演した今月11日、大阪・なんばグランド花月(NGK)でともに出演。ぼんちおさむ(62)は「やせてはいはったけど、背筋は伸びてらしたんで、心配はしていなかった。元気にならはったんや、と」と振り返り、訃報には「あぜんとしました」と声を落とした。

 両コンビとも、80年代漫才ブームに乗り、全国に進出した。里見まさと(63)は「同じ時代を一緒に頑張ってきた仲間ですから、ただただ、びっくりしている。言葉がないです。元気でした。憔悴(しょうすい)しきっているとかそういうことは一切なかった。本当に普通に淡々と舞台をなさっていました」と言った。

 最後の出番だったNGK楽屋からは笑い声も漏れ、出前を注文する声も聞こえてきたという。「手足をもぎ取られるような気分です」と唇をかんだ。

 いくよ・くるよは、吉本興業での女性漫才師の先駆け的存在で、しかも、女性同士のコンビでは草分けでもあった。一方で、学生時代からの仲良し同級生でコンビを組んだ駆け出し時代は、手見せ(オーディション)でネタを披露しても、罵声を浴びるばかり。2人で励まし合い、着実に歩を進めてきた。

 まさとは「こんな男前のコンビはない。くるよ姉さんには元気でいてもらわないといけませんから、皆で応援して、微力ながら一緒に頑張っていきたい」とも話した。

 女性コンビでここまで継続してこられた背景には、2人の仲の良さがある。女性コンビの場合、結婚や出産、家庭の事情や、それ以前の恋愛でも、コンビに微妙な影響を及ぼすもの。「コンビは仲が悪い方がおもしろい」と言われた時代、異色のコンビだった。

 甘えん坊タイプのくるよを、いくよさんが面倒を見、あるときは、その逆でくるよがいくよさんの世話を焼き、二人三脚で歩んできた。

 そんな様子を目にしてきたおさむは「おふたりは、一心同体というか、いくよさんにはくるよさん、くるよさんにはいくよさんがなくてはならない存在、お互いが信頼しあっていた。今、いちばん憔悴(しょうすい)しきっているのはくるよさんだと思います。いくよさんも相方のくるよさんのことが心配だったと思います」。それだけに、2人は、くるよのバックアップを約束していた。