日本トルコ合作映画「海難1890」(12月5日公開)でヒロインを演じる女優忽那汐里(22)が3日、和歌山県串本町で「日本トルコ友好125周年記念事業・エルトゥールル号追悼式典」に出席した。

 皇族や会場自衛隊幕僚長、トルコ政府のVIPらも参列した場所で献花を行い「両国の絆を2時間みっちり感じました」と笑顔を見せた。

 映画は1890年の和歌山沖で起こったトルコ軍艦エルトゥールル号沈没事故、1985年のイラン・テヘラン邦人救出劇という2つのエピソードを描く。沈没事故では内野聖陽(46)演じる医師ら、多くの日本人が乗組員の救出に奔走。救出劇はトルコ国民が“恩返し”のように、自分たちより日本人の避難を優先。他の国にはない、両国だけのつながりを感動的に紹介していく。

 忽那は両国のロケに参加。日本の京都ロケでは冬場、大量の血のりと雨でずぶぬれになりながら、トルコ人エキストラと体を温め合った。「過酷な分、人間性がとても現れる撮影でした」。トルコでは現地スタッフから「見ているだけでハートが伝わってくる。いずれ海外に出て行く女優」と絶賛され、クランクアップ後の“上映会”では「シオリ~!」という声援が飛び交ったという。

 忽那は「1つ1つ撮影を重ねていく中で、文化の違いがこれほどとは、と痛感しました。この映画が日本とトルコの関係だけでなく、世界における人と人との絆を考えるきっかけになってほしいです」と語った。

 田中光敏監督(56)もこの日、取材に応じた。「トルコの空港の撮影で、現地の女性エキストラがティッシュでチューリップを作り『この映画を作ってくれて本当にありがとう』というメッセージをくれたんです。今までに日本映画にはない、何か違うエネルギーのつまったものになったと確信しています」と手応え十分の笑みを見せた。