ミュージシャンで作家の辻仁成(55)が7日、東京・青山ブックセンターで新著「日付変更線」発売記念トークショーを開いた。

 小説は昨春から執筆したが、その間に前妻中山美穂(45)から離婚を切り出され、同年7月に離婚が成立。「生活も大変、子育ても大変だった。心を維持させるために、小説を書くことが仕事で良かった。本当に大変で血肉を削って書いた」と語った。

 小説はハワイを舞台に、日系4世の青年を主人公に、日系米国人部隊・442部隊の兵士だった祖父をも絡め1940年代と現代が交錯する物語。戦後70年について自分なりに書いてみたいという思いから筆を執った。主要な登場人物が3代に渡り7人、登場するが、全て一人称で語るという、新たな手法にも挑戦。「僕の本業は小説。書くべきことをしっかり書いて、伝えるべきことを伝える。作品の中で今、世界に対して思うこと、未来を提示することが僕の仕事だと思う」と熱く語った。

 その上で97年に自身が受賞した芥川賞の候補に、「火花」でピース又吉直樹(35)が入っていることに触れ「又吉さんが芥川賞を取る前に(自著を)売り切りたい」とジョークを飛ばした。