世界のエレキブームを作ったザ・ベンチャーズのリーダー、ドン・ウィルソン(82)が14日、成田空港着の航空機で来日した。自身最後となるベンチャーズ日本ツアーに出演するためで、午後2時過ぎ、米国・シアトルから成田空港を降り立ち、笑顔で意気込みを語った。

 「ついに最後のツアーが始まるね。毎年こうやって日本に来てるけど、これで最後になるなんて本当に実感がわかないよ。とにかくショーは精いっぱい頑張るよ!みんな見にきてね!」

 ベンチャーズは、昨年結成55周年を迎えた。ドンは、80才を超えてなおハードスケジュールをこなす体力の持続が難しくなったとして、ツアーから離れることになった。今後もベンチャーズとしての活動は継続するという。

 元祖テケテケブームを巻きおこしたベンチャーズは、1962年(昭37)に初来日。以降、「夏の風物詩」として毎年のようにライブを行ってきた。一時は、「日本に住んでいる」とのうわさも出るほどで、日本人にはなじみのサーフサウンドが定着した。約半世紀にわたる日本公演は、3000回を超えた。

 ベンチャーズのオリジナルメンバーは5人。リードギターはジェリー・マギー。ノーキー・エドワーズが脱退後、96年にドラムのメル・テイラーが亡くなり、05年にはベースのボブ・ボーグルがツアーを脱退。

 ドンは、最後のオリジナルメンバーとしてベンチャーズをけん引してきた。

 06年には、「ウオーク・ドント・ラン」でグラミー賞を獲得。08年にはロックの殿堂入りも果たした。

 また、日本歌謡にも影響を及ぼしている。「二人の銀座」などが大ヒットし、日本レコード大賞・企画賞を受賞。04年には「日米交流150周年記念外務大臣賞」、10年には「旭日小綬章」も受賞している。

 今後は、メル・テイラーの息子でもあるドラムのリオン・テイラーや、プロデューサーとしてベンチャーズを支えてきたボブ・スポルティングらがベンチャーズサウンドを受け継いでいく。

 ドン・ウィルソン最後の来日公演は、7月17日松戸市民会館(千葉県)を皮切りに、全国28都市、38公演を予定。東京公演は、9月6日の中野サンプラザほかで行う。問い合わせはM&Iカンパニー03・5453・1011